世界遺産「平泉の文化遺産」への追加登録に向け、岩手県一関市教委が骨寺村荘園遺跡(一関市厳美町)の「骨寺堂跡」を特定する調査を本格化させている。中世の絵図に記された骨寺堂跡の遺構の存在は、追加登録を左右する鍵を握るとみられる。本年度は調査範囲を拡大し、早期発見を目指す。
 発掘は7月、東西約6キロに広がる荘園遺跡のほぼ中央に位置し、駒形根神社近くにある高台の一部で始まった。「信仰を集める建物ならば、麓から見える場所にあった可能性が高い」という市教委の有識者会議の指摘を基に、高台の端にある林道と周囲の山林を重点的に掘ることが決まった。
 南北に延びる幅約5メートルの林道の表土を約300メートルにわたって重機で削った後、人の手で丁寧に掘る作業が続く。現場からは縄文土器とみられる破片が多数出土したが、決定的な物証は見つかっていない。
 国指定史跡の骨寺村荘園遺跡は、奥州藤原氏の初代清衡が中尊寺の僧に与えたのが起源とされる。骨寺堂跡は、荘園一帯を描いた鎌倉時代後期の絵図に、柱の跡が規則的に並ぶように記されている。
 昨年度までの調査で見つかったのは江戸時代の建物跡のみ。中世の遺構を確認し、平泉との関連性を具体的に示すことが、世界遺産入りへの重要なポイントになる。
 一関市教委文化財課の担当者は「中世を示すものはまだ見つかっていないが、人間の活動の痕跡はある。丁寧に調査を続けていきたい」と意気込む。