仙台市太白区郡山と諏訪町の一部地域が豪雨のたびに冠水し、地元住民が水害と漏れ出した汚水の悪臭に悩まされている。住民有志は2015年5月に「冠水問題を考える会」を設立し、市に対策を求めてきたが、予算面などから抜本的な解決策は示されていない。住民が豪雨におびえる日々は今後も続きそうだ。

 「大雨の予報が出るたび、半地下の倉庫にある商品を高い場所に移さなければならない。土のうではとても太刀打ちできない」
 郡山地区にある自動車修理会社の男性社長(51)がうんざりした表情で話す。倉庫の浸水は、ひどいときで床から高さ1.5メートルに達するという。
 考える会がこれまで発行した情報誌には「トイレや台所の水が流れなくなる」「道路の水が引いた後も悪臭がしばらく続く」といった深刻な声が並んでいる。
 冠水するのは市の郡山ポンプ場に太白区長町・郡山両地区から大量の雨水が集まり、ポンプの排水能力を超えてしまうためだ。広範囲から汚水も集まり、雨水と混ざって地上にあふれ出す。これが悪臭の原因だ。
 市によると、下水道整備が始まったのが1890年代と早かった市内では、雨水と汚水を一緒に流す合流式下水道が少なくない。
 長町・郡山両地区は、合流式下水道の整備後に宅地化や都市化が進んだ。田畑が減る一方、コンクリート舗装が広がったため雨水がしみ込みにくく、下水道への流入量が増えた。
 郡山ポンプ場の排水能力向上について、市下水道計画課の担当者は「工費が数十億円かかる上、近くに広い用地が確保できない」と説明する。
 3年後の20年には、大雨時に郡山ポンプ場から名取川に排水している汚水の量を減らすため太白区諏訪町のポンプ場が稼働する予定。郡山ポンプ場に流れ込む汚水は「かなり減る」(市下水道計画課)が、冠水問題の解消にはつながらない。
 考える会の朴沢定男代表(75)は「住民が声を上げなければ、事態は変わらない。雨水管の設置などを要請していきたい」と話す。
 一方、市の担当者は「雨水管は一戸一戸に付け替え工事が必要な上、地下埋設物との絡みから大規模な工事となる。予算的にも物理的にも難しい」と難色を示している。