東京電力第1原発事故に伴う自主避難者を対象にした福島県の住宅無償提供が3月に終了するのに対応し、山形県が昨年12月下旬から募集している県職員公舎計50戸の無償貸し出しへの応募が13日現在、7件にとどまっている。公舎の無償提供期間は約2年間。短期間で引っ越しを余儀なくされるとあって、自主避難者たちは二の足を踏んでいるようだ。

 無償貸し出しを行う職員公舎は、山形(18戸)、米沢、長井(ともに7戸)、村山(6戸)など8市にあり、入居期間は3月1日から。借り上げ住宅などに現在入居している県内の自主避難者545世帯に昨年12月21日に募集案内を送付し、募集を開始した。対象は所得税非課税世帯で、避難前の福島県の住居を既に引き払っていることなどが条件だ。
 山形県は昨夏、住宅を2017年度に確保することが困難と思われる約100世帯に電話や戸別訪問で聞き取り調査を実施。そのうち、約50世帯がまだ次に住む家を見つけられていないことが分かり、無償提供する住宅の戸数を決定したが、ここに至って自主避難者の意向とのミスマッチが浮き彫りになった形だ。
 職員公舎への転居に慎重な避難者には、世帯ごとによってさまざまな事情がある。(1)引っ越しに伴い子どもの転校が必要になる(2)職場への通勤距離が長くなる(3)ペットの同伴−などの問題が主な理由だ。公舎はペット禁止という。
 子ども3人と米沢市に母子避難している30代の主婦は「やっと慣れた土地を引っ越し、一から生活を築かなければいけないのはつらい」と打ち明ける。福島県は全世帯を対象とした住宅無償提供を3月に打ち切った後も、収入の低い世帯に限り住宅費補助を行うことにしているが、この主婦は「収入要件を緩和し、補助が受けられるようにしてほしい」と要望する。
 住宅支援の延長を求める会の井上肇代表は「福島にも戻れず、避難先で大変な生活を強いられるケースも出てくるかもしれない」と懸念する。
 県は募集を下回る状況を受け、16日の締め切り後も応募を受け付ける方針だ。
 山形県復興・避難者支援室の布川理枝子室長は「住まいが決まらず不安を抱いている人の相談に随時乗っていきたい」と話している。