日本ならではの「おもてなし」を継承−。旅館やホテル、和食レストラン、料亭での良質な接客術を次世代につなげようと、藤田観光(東京都文京区)が「女将(おかみ)技塾」に取り組んでいる。技術や知識を併せ持つリーダーの育成を目指し、従業員を対象に昨春始めた2カ年のプログラム。訪日外国人観光客が増える中、将来的なリピーター獲得の未来図も描く。 「客の心をどう砕くかが仕事」「あいさつに込める思いが大切」。昨年12月、箱根ホテル小涌園(箱根町二ノ平)。プログラム講師役のベテラン女将の説明に、同社が運営する旅館・ホテルで働く着物姿の女性十数人が真剣な表情で耳を傾けた。 同社では従来、管理者となったスタッフが自身の経験などを踏まえた礼儀・作法などを伝えており、その体系的な継承が課題だった。「女将」は旅館などの女主人を意味するが、今回の取り組みでは運営する旅館や料亭で「サービス部門を引っ張っていく存在」と位置付け、伝承役としての側面に期待を寄せている。 初年度の今回、受講者は県内外の事業所から集まった20〜50代の約20人。昨年4月から月1回の講義を重ね、外部講師を招くなどして座学やロールプレイング、視察に取り組んできた。これまで和食誕生の歴史などの知識に加え、お茶の入れ方やクレームへの対処を学んできた。 小涌園の和食レストランで接客に当たる小池沙千絵さん(26)は「礼儀・作法といった原点の大切さを感じている。職場に持ち帰り伝えるという部分の意識が強くなった」と、プログラムの成果を実感する。 現在、国内の旅館は減少傾向にあり、厚生労働省の衛生行政報告例によると2015年度の旅館数は約4万軒。過去20年で3万軒ほど減っているという。 同社は外国人観光客の増加を見据え、「和の文化は人気。全体の質の向上を図ってサービスに磨きをかけ、将来的に今以上のリピーター獲得につなげたい」としている。