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 その光景はまさに象徴的であった。ストラスブール戦でのドローにより、リーグ・アン最多優勝記録を更新したにも関わらず、選手たちはまるでその日の仕事を片付けた会社員のように淡々と、義務的なタスクをこなすようにして、そのまま帰途へとついていった。キリアン・エムバペの延長、ルイス・カンポスとクリストフ・ガルティエという元リールの成功者コンビの加入など、フランスで大きな期待を背負ったパリ・サンジェルマンだったのだが、最終的に手にしたタイトルはいつものリーグ戦のみ。しかも開幕ダッシュで独走状態にありながら、一時はランスにわずか勝ち点差3にまで迫られる展開にもなっていた。2月にマルセイユで1-2の敗北を喫し、クープ・ドゥ・フランス優勝の可能性が消え、3月にはFCバイエルン相手にチャンスなくチャンピオンズリーグ敗退。

 ”MNM “トリオが揃った2年目、そして最後の年にあっても待望のCL制覇は夢と消えたのである。それだけではない。4月末のロリアン戦(3-1)でメッシがファンからブーイングを受け、翌日にサウジアラビアに無断渡航し、出場停止処分を受けた時点で、もうクラブを取り巻く環境はもはや最低の状態になっていた。サポーターは、アルゼンチン人選手だけでなく、クラブ経営陣に対しても、事務所前で抗議を行っており、構造的な変化は望むべくもないだろうが、ただ競技部門においては大変革が控えており、メッシはサウジ移籍、ネイマールもマンUなどの関係が取り沙汰されているところ。そしてガルティエ監督もこのまま1年でクラブを後にすることになるかもしれない。