今年7月、72歳で亡くなった世界的ピアニスト中村紘子さんのお別れ会が22日、兵庫県洲本市の市文化体育館であった。同館は最後のリサイタルがあった会場。淡路島内外のファンや音楽関係者ら約250人が、生涯現役を貫いた中村さんをしのんだ。

 1998年以降、同市でコンサートを8回も開いた中村さん。大腸がんの療養から復帰し、同館で今年5月にリサイタルを行った。

 お別れ会は、島内のピアノ指導者らが中村さんとの交流の中で立ち上げた団体「淡路ピアニッシモ・インターナショナル」が企画。

 柔和な笑みを浮かべる遺影のそばには、中村さんが選定し、5月のリサイタルでサインを残したグランドピアノが置かれた。公開レッスンを受けた経験のある若手ピアニストをはじめ計3人が、ショパンの「別れの曲」などを奏でた。遺影に向かって語り掛けるような演奏に、涙を拭う参列者の姿も。最後はステージ上に白いトルコキキョウを献花し、全員で賛美歌を合唱して故人を悼んだ。

 ピアノを演奏した同団体の若林薫会長(54)は「(中村)先生との貴重な時間への恩返しは、音楽でしかできない。これからも若手の指導に力を注ぎたい」と声を詰まらせた。(長江優咲)