阪神・淡路大震災の被災者に、国や自治体が貸し付けた「災害援護資金」で、返済が困難になった人に対する返済免除要件をめぐり、兵庫県が示した免除を認める判定計算式に、国がより厳しい基準を打診したため、市によって返済免除認定のスピードに差が生じている。県の免除方針だけでは認められないとして、国が“待った”を掛けた格好で、認定に二の足を踏む市が出ているためだ。県は本年度内にも新たな基準を示す。(高田康夫)


 災害援護資金は、兵庫県内では13市が対象で計約1309億円が貸し付けられた。昨年9月末時点で、返済を終えた姫路、三木市を除き、11市で計5471件、77億5400万円が未返済になっている。

 国は2015年4月、借り主が死亡した場合などに限られていた返済免除要件を拡大。「将来返せる見込みがない」と自治体が客観的に判断すれば、免除対象となった。県はその判断の基準として所得や資産、負債、生活費などから判定する計算式を提示。各市はこの判定式に基づいて借り主の調査を始めた。

 ところが同年10月、国は県の判定式のみでは免除対象に当てはまらないとして、より厳しい判定となる計算方法などを記した留意事項案を提示。対象市や県は反発し、この案は棚上げされた。

 ただ、政令市の神戸市は国と直接協議し、個々の収入や借金額など免除対象の範囲を確認。認められた対象者から返済免除を順次進め、昨年9月末までに3381件に上った。

 一方、県を通じて免除手続きをする神戸市以外の10市は、対応が分かれた。すでに借り主に返済免除の方針を説明していた西宮市は、県の判定式に従って免除を続けた。だが、明石市は手続きを止め、現在も新たな要件での免除はしていない。

 神戸市に対して、県は国の考える免除の条件について協議を始めていない。県の担当者は「市によって手続きの進み具合が違うため、各市の意見集約に時間がかかった」と話す。県は今後、神戸市と国の合意点を踏まえ、国と協議し、年度内にも新たな判断基準を提示する。各市がいったん返済免除の対象とした被災者が、再び返済を求められることはないという。


■災害援護資金 災害弔慰金法に基づき、全半壊世帯などに最大350万円を貸し付ける制度。国が3分の2、都道府県か政令市が残りを負担する。返済期限は10年だが、阪神・淡路大震災では未返済が多額に上り、国は2006、11、14年に計3回の期限延長を認めている。国の返済免除要件の拡大により、2015年9月末時点の返済免除額は計7336件、126億600万円に上った。