熊本県阿蘇市の阿蘇神社で25日に催される「田実祭」の呼び物「流鏑馬[やぶさめ]奉納」が、熊本地震で倒壊した楼門の影響で中止となった。同神社流鏑馬射手会の笹原憲治会長(42)は「残念だが仕方ない。来年こそは再開を」と復興・復旧に願いを込める。

 新穂を神前に供えて収穫に感謝する田実祭は、国の重要無形民俗文化財「阿蘇の農耕祭事」の一つ。流鏑馬は江戸時代から続く伝統行事で、参道を駆けながら矢を射る勇壮な姿が観光客の人気を集めていた。

 ところが、4月の本震で倒壊した楼門の屋根が参道に大きくせり出しているため、馬の走路確保が難しく、中止を余儀なくされた。

 結成約40年の射手会にとって初の中止。衣装と馬飾りも新調していた笹原会長は「年に1度の晴れ舞台なのに…」と肩を落とす。毎年8月から週に2〜3回行う練習も今年はできなかったという。

 楼門修復に向けての解体作業は10月にも始まる見通し。来年の田実祭に間に合うかは不透明だが、同神社の池浦秀隆権禰宜[ごんねぎ](44)は「多くの人が待ち望む祭りの花形。伝統を絶やさないようにしたい」。笹原会長も「修復が無事に終わることが一番。再開を信じて来年の準備を進めたい」と期待を込める。(上杉勇太)