熊本県南阿蘇村立野で熊本地震の被害を受けた農業嶋津誠一さん(66)が、同村中松に移住して野菜づくりを再開した。繁忙期には同村の東海大農学部阿蘇キャンパスに通う学生の力を借りて栽培や収穫を続けてきた。嶋津さんは「また一緒に農業ができる日を楽しみにしている」と話す。

 嶋津さんは熊本市出身で、同市のホテルなどで西洋料理のシェフとして勤務。同村の道の駅「あそ望の郷くぎの」のレストラン開業に携わった2005年、立野に引っ越した。その後、近くの畑でズッキーニなど西洋野菜を栽培し、道の駅に出荷を始めたという。

 繁忙期には東海大農学部の学生をアルバイトとして雇用。「純粋な学生たちから元気をもらい、充実した交流ができた」と振り返る。食事をごちそうし、誕生日にプレゼントを贈ることもあったという。

 しかし、地震で立野の借家は被災。畑には亀裂が入って土砂が流入し、断水が続いた。「南阿蘇で農業を続けたい」と昨年秋、中松に畑を借りて野菜の栽培を再開。年末には住まいも移した。

 いまの出荷量は地震前の1割ほど。「春にはたくさん種をまいて畑も広げたい」と意気込む。東海大阿蘇キャンパスは再開のめどは立っていないが、「以前のように学生たちが力になってくれたらうれしい」と話している。
(岩崎健示)