花粉が飛び始める春になると、くしゃみや鼻水が止まらないという人も多いのではないでしょうか。今では5人に1人は花粉症(花粉症全体)といわれる時代。子どもも例外ではありません。その中でももっとも多いのがスギ花粉症で、花粉症患者の約90%を占めているそうです。
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今回は、そんなスギ花粉症の唯一の治療とされている「舌下免疫療法」について紹介します。
数年間は根気強く治療を続ける必要はありますが、保険適用の対象になったこと、また「自宅で自分でできる」というメリットがあり、今注目を集めている治療法です。

舌下免疫療法って何?効果はあるの?

花粉症とは、花粉に体が過剰に反応してしまう一種のアレルギー疾患です。
アレルギーに対しての唯一の“治療”は免疫療法と言われています。ごく少量のアレルゲン(花粉症の場合は花粉)を体内に入れて徐々に慣らしていき、体が反応しないようにしようという方法です。
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これまでは、注射でアレルゲンを体に入れる方法だったので、頻繁に通院しなければならなかったり、入院を必要としたり、多くの人が受けることのできる治療とは言い難いものがありました。しかし、注射でなくアレルゲンを舌下に投与するという簡単な方法が開発されて、自宅でも服用できる身近な治療となったわけです。
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ただし、アレルゲンを投与する免疫療法は、アレルギー反応が起こるおそれがあるため、治療は副作用に対して適切な対応ができる医師のもとで行われ、また副作用に対する患者の理解も必要となります。
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効果については、「絶対に効く」という治療ではなく、個人差が大きいのが現実です。報告によれば、「完治した」人は約2割、「かなり効果があった」と答えた人は2〜3割、「それなりに効果があった」という人も2〜3割で、全体の7〜8割程度には何らかの効果が認められると考えられています。
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舌下免疫療法の大まかな流れ

詳しい手順はクリニックによって多少の差があります。また、講習を受けた医師のみが行える治療ですから、免疫療法を行っているクリニックと、行っていないクリニックがあるので、事前に確認をしておきましょう。
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花粉症の治療といっても、「スギ花粉」にのみ行われている舌下免疫療法ですから、まずはスギ花粉症であることを確認する必要があります。過去に受けた血液検査の結果を持っている場合には持参してください。
症状や血液検査の結果から「スギ花粉症」と判断された場合にのみ治療が開始されます。
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舌下免疫療法は比較的安全な治療とされていますが、アナフィラキシーという重篤なアレルギー反応が副作用として起こらないとは限りません。
初回は舌下の仕方の講習もかねて、クリニックで行うことになります。シダトレインという液体の薬を舌下にたらして、2分間待つというシンプルなものです。その量を少しずつ増量していきます。
初回はクリニックで重篤な副作用がでないことを確認するためにしばらく待機することになるでしょう。
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問題がなければ、翌日からは毎日自宅で、自分で舌下に薬を投与することができます。
最初は2週間で再診をすることになりますが、その後は月に1回の通院で十分になるでしょう。
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舌下免疫療法を受けるにあたっての注意点



◎治療期間は?
舌下免疫療法を始めてすぐに、または数カ月で効果が現れるという即効性のある治療ではありません。
少しずつ体質を改善させていくことが狙いなので、少なくとも2〜3年は続ける覚悟が必要です。その時点で効果があったと判断した場合、さらに数年、合計4〜5年継続するのが良いとされています。
治療期間が長い方がより効果が高いと考えられているからです。
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◎適応年齢は?治療が受けられない人は?
適応年齢は12歳以上となっています。臨床試験がされていないということから、安全性が確認できていないために、65歳で上限を区切っているクリニックが多いでしょう。
また、妊娠をしていたり、ひどい喘息や心臓の病気がある人、がんの治療を受けていたり、免疫の病気がある人も治療ができません。
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◎治療の開始時期は?
スギ花粉が飛散する前後の時期(1〜5月頃)に治療は開始できません。スギ花粉の飛散が完全に終了した6月から開始できます。
今年、舌下免疫療法を考えているならば、少なくとも11月までに始めたほうが良いことを頭に入れておくといいでしょう。
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お住まいの地域によって、多少スギ花粉の飛散時期が異なりますから、クリニックで細かい期間は確認しておきましょう。
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