クルマの燃料に注入する「ガソリン添加剤」や「水抜き剤」といったものは一体どのようなものなのでしょうか。また、使用したほうが良いクルマや、いつ使うのが良いのでしょうか。

「ガソリン添加剤」と「水抜き剤」の違いとは

 ガソリンスタンドや自動車ディーラーなどで、「ガソリン添加剤」などを勧められて使用したことがある人もいるでしょう。
 
 注入後はクルマの調子が良くなったような気がしますが、必要と判断する人もいれば、不要という意見もあり、賛否両論があるのも事実です。一体どのような効果があるのでしょうか。

 ガソリン添加剤は、燃料に添加することで燃焼効率を向上させたり、エンジン部品の潤滑性向上、エンジンの清浄性向上、ガソリンの酸化防止などを目的に使用され、主成分は、一般的にはアルコール、エーテル、炭化水素などの有機化合物となっています。

 エンジンの燃焼によって発生する不完全燃焼物質を減らしたり、バルブやピストンなどのエンジン部品を保護できる点についてメリットがあるといわれています。

 同じく燃料に注入するものとして「水抜き剤」があり、これは燃料タンク内に溜まった水分を取り除くためのものです。

 クルマを走らせて燃料を消費すると、燃料タンクのなかは空気が占める割合が多くなります。そして日中に暖められた空気が夜になると気温が下がって冷やされることで、空気中の水分が水滴となり「結露」が発生。大きい水がタンクの底に溜まってしまいます。

 結露は日中と夜間の温度差が大きい冬や湿度が高い梅雨時に起こりやすいといえ、その水分がそのまま燃料噴射装置やエンジン内に入るとエンジンの調子が悪くなり、出力低下の原因となります。

 そこで水抜き剤を添加することで、燃料タンク内にたまった水を効果的に吸収・除去することができます。

 主成分は、一般的にエタノールやイソプロピルアルコールなどの揮発性の高い有機化合物。イソプロピルアルコールはアルコールの一種で水と混ざりやすく、水分を吸収する性質があり、水分と混ざってタンクの底に沈殿し、燃料と一緒に燃焼させて水分を除去します。

 ガソリン添加剤と水抜き剤はどちらも燃料に注入して使うものですが、このように使用効果が異なります。

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 かつての燃料タンクは鉄製でしたが、1980年代から1990年代にかけて、燃費改善やリサイクルの配慮、コスト削減、軽量化のため、樹脂製へと切り替わりました。

 旧車は現代のクルマに比べて水密性が低く、鉄製の燃料タンクが使われていることが多いので、水抜き剤を添加したほうが良いといえるでしょう。

 また、燃料を満タンにせずに少量ずつ給油して走行しているクルマや長期間エンジンをかけていないクルマも添加剤の使用が推奨されます。

 一方で、現行車でも、燃料フィラーキャップのパッキン部分にヒビ割れ・亀裂があると燃料内に水が入り入り込んでしまうことがあり、そういう場合は燃料フィラーキャップの交換と添加剤の使用をお勧めします。

添加剤はどのタイミングで入れるのが良い?

 では、どのようなタイミングで注入するのが良いのでしょうか。

 クルマの使用環境にもよりますが、水抜き剤は時期は日中と夜間の温度差が大きく結露が発生しやすい時期である「梅雨時期」と「冬の前」に使用します。

 そして、ガソリン添加剤と水抜き剤は同時に添加しても問題ありません。

 別々に添加する場合は、エンジンオイル交換前にガソリン添加剤、その後1000km程度走行後に水抜き剤といった具合で注入するのがお勧めです。

 最近は、ディーラーでのエンジンオイル交換時にガソリン添加剤などを勧められることもありますが、ガソリン添加剤を入れてから約1000km程度走行した後に「エンジンオイル交換+フラッシング」を実施して、その後水抜き剤を入れるほうが望ましいといえます。

 エンジンオイル交換時にガソリン添加剤を添加しても意味がないという訳ではなく、ガソリン添加剤を添加して、ある程度走行してエンジン内の汚れを落ちやすくすることで、その後のフラッシングオイルでさらにエンジン内部の汚れを落とせると考えるからです。

 使用環境・使用状況により異なるのですが、ガソリン添加剤を使用する際は、エンジンオイル交換時期も含めて検討してみると良いでしょう。

 添加剤は燃料を満タンにしてから入れるのですが、商品の説明に「30L〜40Lあたり1本」と記載されていたら、満タンで70リットルの燃料タンクであれば2本使用するということです。

 添加剤を多く入れすぎてしまうと燃料が薄くなり、トラブルが発生することもあります。そのためメーカーから指定されている数量は厳守しましょう。