日本の植民地支配に関する史料の情報を、韓国や台湾などの研究者とウェブ上で共有する取り組みを立命館大文学部の山崎有恒教授らが計画している。本年度中に日本語版での運用を始め、順次、各言語で掲載する。政治的あつれきもあって史料情報の共有が進まない中、初めての試みという。山崎教授は「歴史研究におけるイデオロギー対立の呪縛を解き、未来を目指したい」とする。

■韓台研究者ら参加政治的不和「呪縛解く」

 「近現代東アジア史研究デジタルアーカイブ(仮称)」。明治維新から終戦にかけて、日本が支配した朝鮮半島や台湾、中国大陸などに残る史料を扱う。公文書か私文書かは問わず、史料名や所蔵場所、利用方法、概要などを記載。各研究者が直接、原史料に当たる手がかりにしてもらう。

 情報は主に研究者から募り、史料情報を一つ提供すれば、IDとパスワードを得て、アーカイブ全体にアクセスできる。市民にも史料の情報提供を呼びかけるが、掲載の可否は立命大の研究者らが信頼性などを吟味して判断する。

 山崎教授によると、各地域で日本の植民地支配の研究は進んでいるが国際的な学術誌はなく、共同して研究する環境は十分ではない。アーカイブを通し、共同研究を進める土壌を整える狙いがある。現在、立命大のほか、韓国の高麗大学校や台湾の国立政治大学台湾史研究所の研究者などが参加予定。中国からの参加も呼びかけている。

 同研究所の陳家豪研究員は「日本の植民地支配を全体的に考察するには、韓国や中国にある史料に直接当たる必要がある。アーカイブは、研究の水準を一気に向上させるだろう」と期待する。

 アーカイブは、立命館アジア・日本研究機構のプロジェクトの一環。問い合わせは、立命大研究部OICリサーチオフィスTEL072(665)2570。