第10話
どんなに好きで結ばれる前には激しく燃え上がったカップルでも、「いつでも会える」「いつでもそこにいる」という状態になると、とたんに緊張感がなくなります。

そう考えると恋愛のドキドキ感とは、危機感とイコールなのかもしれません。
この人はフリーか否か、どこに住んでどういう生活を送っているのか、どんな人がタイプなのか、メールしたらどんな返事が返ってくるのか、自分のことはどう思っているのか、どんな風に相手を抱きしめるのか、早くどうにかしないと誰かに取られはしないか……などなど。不確定要素が多いほど、人は燃えるし執着します。

いわゆる「魔性」と言われる女子は、どんなに深い仲になったとしても、どこか謎めいた部分を残している気がします。それがいいことなのか、悪いことなのかはわかりません。「思わせぶりな女はイライラするだけ」という男の人もいるでしょうし、一方ですべてをさらけ出してしまうと、とたんに興味がなくなってしまう男性も少なくはなさそうです。

男女ともに色気のある人って、ある部分ではとてもこちらのことを思ってくれるのに、別の部分では驚くほど冷淡。というかマイペース。自分の動きたいときにしか動かないし、普通だったら気を使って合わせてくれるだろうところで外してきたりと、ちょっとタチの悪い子どもみたいな部分があります。そうやっていわれのない不安を相手にたくさん与えておいて、ときどき、すべての不安を帳消しにするような愛情深さを見せる。そのギャップや大胆さが、猫の魔性と共通するのです。

「彼(彼女が)いなくなったらどうしよう……」と想像したとき、どのくらい不安になるかが、好きな気持ちのバロメーターでしょう(悲しいことにここ数年は度重なる災害で、そんな気持ちに触れることも多くなりました)。しかし、意外な人が大事だったり、大切だと思いこんでいた人が実はそうでもなかったりするものです。
また逆説的に「いなくなったら困るから、最初から深くはつきあわない」「好きな気持ちはセーブする」なんて人もたまにいますが、なんとももったいない話。あとで後悔しないためにも、好きな人たちに会えなくなる日までは、できる限り向き合いたいなと思う筆者なのでした。

『猫の女神さま』は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました!
(アオノミサコ)