裏庭でブーンと羽音を立てているこの昆虫は、バーベキューをするときに邪魔になるだけではありません。集団になれば、あなどれない脅威となります。また、ハチの毒にアレルギーがある人なら、たとえ数匹でも危険です。今回は、どうすればハチの大群に出くわさずに済むか、刺されてしまったときにどうすればいいかを解説します。

スタンフォード大学の外科医で、2012年版全国野生生物被害レビューの共著者、ジョセフ・フォレスター氏によると、ミツバチ、スズメバチ、アシナガバチといった「ハチ」が、人の命を最も多く奪っている野生生物なのだそうです。


...野生生物による被害に限れば、最も多い死因は、スズメバチやミツバチなど、毒を持つ生物によるものです。最も危険な動物といえば、クーガーや熊、ワニなどが頭に浮かぶと思いますが、毒に反応しやすい人にとっては、一匹のミツバチのほうが危険です。


実際、20歳以上の成人では、ハチによる被害が、米国の動物や虫による死亡事例全体の33%を占めています。その多くはアレルギーが原因です。屋外では、単純に巣に近づかなようにすれば、ハチの襲撃を避けることができます。こちらがハチをかまわなければ、ハチもこちらをかまいません。ですので、彼らの住処に不用意に近づかないよう心がけてください。


木の中にあるミツバチの巣。


もしあなたがハチ毒に対してアレルギーを持っているなら、ほかの予防策も必要です。ほんのひと刺しが命取りになる可能性があるからです。必ずアウトドアシューズを履くようにし、明るい色の服を着ないようにしてください。また、甘い匂いのするローションや香水、シャンプーなどは避け、できるだけ、長袖シャツや長ズボンを身につけるようにします。そして、一番大切なことは、緊急事態に備えて、エピネフリン注射ペンを持ち歩くことです。

野外でハチの巣に近づかないのは当たり前だとしても、自宅に巣を作られたときはまた別の話。この空飛ぶ昆虫は、構造物の中や外面に巣を作るのが好きであり、家の軒下や、木の中、ときには子どもの遊具にも巣を作ります。


スズメバチの巣


たいていの場合、外見で、ミツバチ、スズメバチ、アシナガバチなど、どのハチの巣なのかを見分けることができます。六角形のセルを持つ傘の形をした巣は、アシナガバチの巣です。表面がなめらかでフットボールみたいな形の巣があったら、スズメバチです。地面やビルの穴に出入りしているハチは、おそらくキイロスズメバチで、ろう様物質でできている巣があったら、たぶんミツバチの巣です。ただし、ミツバチは壁の中や、木の空洞、小屋、地中のげっ歯類の巣の跡などにも、巣を作ります。

家の周りにこうした巣が見つかったら、専門家に駆除を依頼することをお勧めします。さまざまなスプレーや捕獲器が市販されていますが、巣を自分で取り除くのは危険であり、また、専用の道具がなければ完全に除去することは困難です。

ハチが飛んできたとしても、こちらから攻撃はしないように。もし刺されたら、すぐにその場を離れてください。針を刺したあとに「警報フェロモン」を出して、仲間を呼ぶハチもいます。スズメバチやアシナガバチの大群に囲まれたときは、さらに慎重な対応が必要です。こうしたハチは人の動きに敏感に反応する、と害虫駆除の専門家、サイモン・ベレニー氏がQuoraで説明しています。腕を振り回したり、叫んだり、走ったりすれば、さらに危険が高まります。巣を壊したり、何かハチを怒らせるようなことをしたわけではないなら、慌てず騒がず、頭を低くし、目を閉じ、できたら顔を手で覆って、ゆっくりとその場から立ち去るようにします。


見捨てられた郵便箱に作られたアシナガバチの巣


スズメバチやアシナガバチの巣を壊すと、大群で襲ってきます。また、ミツバチの中には「殺人バチ」と呼ばれる攻撃的な種類のものもいます。米農務省が、ハチに襲われたときの対処法を解説しています。



全力で走って逃げる。子どもや老人がいるなど、どうしてもそうする必要があるとき以外は、ほかの人を助けるために立ち止まったりしないこと。車や建物など隠れられる場所に行き着くまで、走り続ける。
水の中に飛び込まないこと。ハチは、人が水から顔を出すのを待ち受ける。
走りながら、シャツを引っ張って頭にかぶせ、顔、口、目を守る。
走っているときに、ハチを攻撃しないこと。攻撃されたハチや、死んだハチが出す匂いが、大群をますます攻撃的にさせる。
安全な場所に着いたら、911(緊急通報)に電話をかけ、被害状況を伝える。


大群の襲撃から逃れたとしても、まだ油断してはいけません。刺したハチがミツバチだった場合、針が傷口に残っていて、毒を出し続けている可能性があります。できるだけ早く針を取り除く必要があります。ただし、ピンセットや指でつまんで針を引き抜こうとしてはいけません。針をつまむことで、毒の入った袋が圧迫され、毒が傷口の中にさらに入り込んでしまうことがあります。



そうではなく、爪や、鋭くないナイフの刃、クレジットカードのふちなどで、横から針を払うように取り除いてください(上の動画を参照)。理論上、平均的な人なら、体重1ポンド(約0.45kg)あたり、ミツバチに10回までなら刺されても大丈夫です。つまり、成人なら1100回刺されても耐えられることになります。とはいえ、試してみようなんて気を起こさないこと。アレルギーがなかったとしても、何針が刺されただけで激痛が走ります。15回以上刺されて、気分が悪くなってきたり、アレルギーを持っている懸念が少しでもあるなら、ただちに医師の診察を受けてください。


Patrick Allan(原文/訳:伊藤貴之)
Illustration by Sam Woolley. Photos by Funk Dooby, Bureau of Land Management, and Peter Burka.