Inc.:「他人とすぐに知り合いになれる能力」は少数の幸運な人たちだけが先天的に授かっているもので、後天的に身に着けることはできないと思い込んでいる人が多すぎます。この間違った思い込みの罠にはまってしまいがちですが、実はこの能力は自分でコントロールできるものであり、EQ(心の知能指数、「自己や他者の感情を知覚し、自分の感情をコントロールする知能」と言われる)に左右されます。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でMatthew Lieberman氏が行った研究によれば、社会と交わり他人と知り合いになることは、食物、住居、水などと同じく人間が生きるための基本的欲求です。例えば、「人間関係を失うと、体の痛みを感じるときと同じ脳の領域が"社会的な痛み"を感じること」をLieberman氏は発見しました。

脳のこの領域の主要機能は生命の危機を警告することですから、人間が生きる上で社会的なつながりがどれほど重要で生きる力になっているかがこれでわかります。

人間のもっとも基本的な欲求は、理解したりされたりすることである。
──Ralph G. Nichols

社会的思考と分析的思考は、片方が作動すると片方が停止することが脳のMRIで実証されています。分析的思考をしているときは、脳の社会的思考回路が停止していますが、分析が終わるとすぐに今度は社会的思考回路が作動し始めるのです。例えるならシーソーの片端に社会的思考を司る脳の領域があり、反対の片端には分析的思考を司る領域があるような感じです。

「社会的つながり」が人間が生きるためにこれほど必須なものだとしたら、誰とでも簡単に知り合いになれそうな気がしますが、残念ながら現実は違います。照れ、自意識、不信感、プライド、競争意識、嫉妬心、傲慢さなどに邪魔されているのです。

そんな余計なお荷物を放り出せたら、誰とでも知り合いになれます。そのお荷物をまだ手放せないでいる相手ともです。今回は「出会う人すべてとすぐに知り合いになるコツ」をご紹介しましょう。

1. ポジティブなボディランゲージで強い第一印象を残す


ある研究によれば、「ほとんどの人は出会って7秒以内に相手に好感を持つかそうでないかが決まる」そうです。その後、会話を通して自分のその判断が正しかったことを心の中で証明しようとします。考えようによってはこれは恐ろしいことですが、このことを知っていれば誰かと出会ったときそれを有利に活用できます。

第一印象はポジティブなボディランゲージがすべてです。自分の身振りや表現、声のトーン(必ずポジティブなトーンにしてください)を意識すると、相手の心を惹きつけることができます。熱心な口調で話す、腕を組まない、アイコンタクトを保つ、話している人の方に体を傾ける、などはすべてポジティブなボディランゲージであり、EQの高い人たちはこれを使って人の心を惹きつけています。ポジティブなボディランゲージを使うと会話にも差がつきます。何を言うかよりどう言うかの方が大切なのです。


2. 一歩踏み込んだ話をして、仲良くなりたいことを相手に示す


初めて知り合った人との最初の会話は表面的なものになりがちです。注意深く自己紹介して、無難な話題にとどめておこうとします。天気の話や共通の知り合いの話をして、自分に関してはごく基本的なことだけ話します。しかし、もし本気でその人とのつながりを持ちたいなら、もう少し冒険して自分らしさを出しましょう。あまりに個人的なことを話す必要はありませんが、こちらが本気で仲良くなりたいと思っていることを相手に知らせることが大切です。こちらが心を開くと、たいていの場合は、相手もそれにつられて同じように心を開いてくれるでしょう。


3. 上手に質問をして「相手が興味のあること」を探る


相手が心を開くことを躊躇しているようなら、中身のある質問をして心の殻を破ってもらうようにしましょう。「お仕事は何ですか?」と質問しているようでは、相手との関係性にそれ以上の発展は望めません。「今の職業を選んだ理由は何ですか?」と聞いた方がずっと発展性があります。立ち入り過ぎないようにしながら「相手が何に興味があるかわかるような質問」を探してください。


4. 相手から学ぶことで、自分にとって相手が重要であることを示す


Lieberman氏は研究を進めていくうちに、「教育システムは、学習の社会的な側面をうまく活用する方が、それを封じ込むよりもはるかに効果が出る」という結論に達しました。例えば、数学ができなくて苦しんでいる中学生には、同級生に助けてもらうのがベストな解決方法です。生活にもこれと同じ原則を取り入れて、「つながりを持とうとしている相手から進んで学ぶ」ようにしましょう。相手がこちらに親しい気持ちを抱いてくれるだけでなく、「自分は重要なのだ」と感じるようになります。またそうすることで、こちらの弱みを見せて相手から学ぶべきことが多いこと認める謙虚さを示すことにもなります。


5. 素顔を見せてくれた相手を後悔させない


新しく知り合った人が心を開いてくれたら、そのことを後悔させないようにしましょう。辛辣な言葉、批判、相手が打ち明けてくれたことの善悪を決めつけるような冗談は絶対に避けるべきです。たとえ相手の信条に同意できないにしても、相手の生き方に共感を示し、さらに自分のことをさらけ出すことで報いましょう。


6. 相手の良いところを探す


どうも皮肉な態度になりがちな文化に身を置く私たちは、つい相手の長所でなく短所を探すことに意識が向きがちです。そんな内なる皮肉屋の声は黙らせて、新しく知り合った人の良い点を探すことに集中しましょう。そうすることで、あまりに早く人に見切りをつけたりしないですみますし、何よりも、相手が素晴らしい人であるはずだと期待すると相手も本当にその期待に応えてくれることが多いです。


7.微笑む


人は会話している相手のボディランゲージを自然に(無意識に)鏡のように真似しているものです。相手に好かれたいなら、会話の最中こちらから相手に微笑みかければ、相手も無意識に好意を返してくれて結果的に好感をもってくれます。


8. 相手の名前を言う


名前はその人のアイデンティティそのものですから、誰かに名前を言われると嬉しくなります。相手の名前を言うのは挨拶するときだけ、というのではダメです。会話の途中で話している相手がこちらの名前を言ってくれると尊重された気分になることが研究で実証されています。一度聞いた相手の名前を忘れてしまったら、恐れずにもう一度聞いてください。そして、次に会ったときすぐ思い出せるように相手の名前を手元においてすぐわかるようにしておくべきです。


9. 相手と競わない


バーで2人で飲んでいてお互いに自分を相手より一段上に見せようとした経験がある人は多いかもしれません。新しく誰かと知り合ったときもそれと同じことが起こります。相手の業績や人生経験に密かに圧倒されて、自分もそれに勝るとも劣らないことを示さなければと思ってしまいます。そんなことをしても自分が満足するだけで、相手と心が通じるわけではありません。自分にばかり意識が向いてしまい、相手を知り共通点を見つけることに集中することができません。


10. 自分の心の声を封じる


他人とつながりを持つときに一番障害になるのは、本気で相手の話を聞かないことです。相手が話しているときに、自分が次に何を言うか考えたり相手の話していることが自分にどのような影響を及ぼすか考えていると、相手の話を聞き損なっています。せっかくはっきりした声で明瞭に話してもらっても相手の言わんとしていることをきちんと受け取れないのです。誰かと深いつながりを持ちたいと思うなら、自分の心の声は封印すべきです。

それでは、自分が言おうとしていたことを忘れてしまったり、言いたいことを話す前に会話が別の方向に移ってしまったらどうしましょう? 真の目的がその人とつながりを持つことであるなら、相手の話をしっかり聞くことに集中しましょう。自分の話は二の次です。


11 Strong Habits of Emotionally Intelligent Communicators | Inc.com

Travis Bradberry(訳:春野ユリ)
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