クーガ、ピューマ、ヤマネコ、フロリダパンサーなどの別名を持つマウンテンライオンは、剃刀のように鋭い爪を持ち、体重90kg以上になることもあります。そして、最高速度時速80㎞の俊足を誇っています。普段見かける近所の猫とはわけがちがいます。今回は、野原でマウンテンライオンに遭遇したときの対処法をご紹介しましょう。

米国マウンテンライオン財団によれば、マウンテンライオンは、夜明けや夕暮れに活発になる鹿などの獲物を見かけると狩猟本能が騒ぐようです。真昼の日差しを避けて山道を歩きたいハイカーがちょうど多い時間帯でもあるので、アメリカの多くの地域でハイカーがマウンテンライオンと遭遇することは十分ありうる話です。

※編注:マウンテンライオンは北米大陸東部・南米全域に広く棲息しています!

幸いにして、マウンテンライオンに襲われたという事故はほとんどなく、北米では年平均6件程度です。死亡事故はさらに稀で、年に1件程度が平均です。全米でこの種の事故記録がもっとも多いカリフォルニア州でも、1986年以来たった14件しかありません。そのため、大型ネコ科動物に襲われて死ぬ確率よりもレクリエーション活動で死ぬ確率の方が高いと言えるかもしれません。そうは言っても、めったに遭遇しないマウンテンライオンと万が一遭遇してしまった場合は正しく対処するようにしましょう。



マウンテンライオンが生息している山岳地帯にいるときは、常に警戒していなければなりませんが、特に、しゃがむ、座る、ひざまずくなどの動きをするときは要注意です。マウンテンライオンからしてみると、「どうぞ攻撃してください」という合図に見えてしまいます。アメリカ合衆国国立公園局の生物学者によれば、通常マウンテンライオンは立っている人間は獲物とみなさないので、近くにマウンテンライオンがいるとわかったときは、背筋を伸ばして立っているのが得策です。

Big Cat Rescue YouTube channelのビデオ(上掲)を見れば、この狩猟本能が発揮されているのがわかります。トレーナーが背を向けてかがんだとたんに、ビデオに登場するクーガのSassyfrassもそうですが、あらゆるタイプの大型ネコ科動物は、獲物に忍び寄り飛びかかる準備を始めます。小さな子どもは背が低く地面に近いので、目を離さないようにしてください。実はマウンテンライオンから見て人間の大人は一番狙う気にならない存在なのですが、ふとしたきっかけで狩猟本能に火がついてしまうと、大人も子どももわからなくなってしまうこともあります。

茂みの中で動物の死骸を見つけても、それを調べたりせずにその場を立ち去りましょう。それはマウンテンライオンが隠しておいた餌かもしれないからです。

マウンテンライオンに遭遇してしまったら、冷静さを保って、その場で動かずにいるか、ゆっくりと後退するようにと米国国立公園サービスは勧めています。相手に背を向けたり走ったりしてはいけません。そんなことをすると猫の狩猟本能を刺激してしまいます。こちらと同じぐらい相手も怖がっているはずなので、逃げるチャンスを与えてやりましょう。



マウンテンライオンがこちらに近づいてきたら、腕を高く上げて、ジャケットを着ている場合はそのジャケットを広げて体を大きく見せましょう。それから、大声で強くで言葉を発しながら腕を振ってください。

それだけでマウンテンライオンは怖がって逃げてしまうこともありますが、そうならない場合は、石、木の枝、その他何でもいいのでマウンテンライオンに向かって投げてください。でも、直接、当たらないようにしましょう(動物を傷つける必要もなければ無駄に怒らせる必要もありませんから)。基本的に、こちらは獲物ではないことと、相手にとって危険な存在であることを示すことができることなら何でもいいからすべきです。マウンテンライオンから身を守るベストな方法は、しっかり先制攻撃することです。

こちらに向かって突進してきたら、直接当たるように狙って物を投げつけて、何を使ってもいいので戦ってください。

攻撃の手を緩めてはいけません。多くのハイカーが石、棒、帽子、ジャケットなどを使ってマウンテンライオンをうまく追い払っています。中には素手でやった人たちもいたぐらいです。最近、我が子を襲おうとしているマウンテンライオンを素手でつかんで投げ飛ばしたという母親もいました。

この人間と関わるとけがをするかもしれない、あるいは襲うに値しない存在だとマウンテンライオンが認識すれば、攻撃をやめて逃げていくはずです。


Patrick Allan(原文/訳:春野ユリ)
Illustration by Sam Woolley.