相手が嘘をついていないか見抜こうとしながら話を聞くのは、とても消耗します。選挙の時期ともなると普段の2倍も大変です。事実を話しながらも、聞き手の理解を巧みに誘導する「ごまかし」テクニックに騙されないように注意しましょう。

ビジネスサイトHarvard Business Reviewは、「ごまかし」とは、話していることは事実であっても、大事なポイントをあえて除いて話したり、聞き手の誤解を促すように話すことで、政治家やセールスマンにありがちだと説明しています。

話し手が話していることは本当のことなので、そこから導き出された結論も正しいはずだと聞き手は思い込んでしまいます。しかし、往々にしてその結論は正しくないことがあります。

事実を利用して人をだますことは「ごまかし(paltering)」であり、これをするのは政治家に限ったことではありません。交渉における「ごまかし」のテクニックに関しては、私の他にも、Harvard Kennedy SchoolのTodd Rogers氏とRichard Zeckhauser氏、Wharton校のMaurice Schweitzer氏、Harvard Business SchoolのMike Norton氏が研究しています。

交渉には独自の情報がつきもので、その情報は当事者の自己申告によるものです。そのため、相手を騙して自分に有利に交渉を運ぼうとすることがよくあります。

たとえば、あなたがテレビを買いに行ったとしましょう。販売員が1台のテレビを勧めてきて、「4K解像度と高画質技術HDRを備えたテレビは値段がかなり高いですが、長い目で見ればお買い得です」と言います。厳密には、この発言には何のウソもありません。そのテレビにはたしかに説明通りの性能があり、しばらく先まで通用しそうなのも事実です。でも、その売り場の隣の列にはまったく同じ性能で、半額のテレビがあることをその販売員は黙っています。

この場合、販売員は何もウソを言っておらず、話の内容の正しさを確認することも可能です。でも、それにより、良いテレビを手に入れるには大枚をはたく必要があるとお客に信じこませて、その高いテレビを買わせようとしたのです。実は、同じ性能でもっと値段の安いテレビがその店にあったので、この場合、販売員は「ごまかし」のテクニックを使っていることになります。


There's a Word for Using Truthful Facts to Deceive: Paltering | HBR

Eric Ravenscraft(原文/訳:春野ユリ)
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