今やクルマや家電、ウェアラブルデバイスなど、さまざまな分野でIoT(モノのインターネット)の技術が活用されはじめ、大手・ベンチャー問わず多くの企業がユニークな取り組みを行っています。

そうした中で9月14日、赤坂にあるNTTドコモ・ベンチャーズにて「生活×IoT ピッチ+マッチングイベント」が開催されました。

主催であるNTTドコモ・ベンチャーズは「ドコモ・イノベーションビレッジ」というプログラムを通し、「ベンチャー企業との協業によるイノベーションの創出」にさまざまな形で取り組んでいます。本イベントもその1つで、IoTを使ったサービスやプロダクトを開発する全11社による持ち時間5分のピッチ(プレゼン)を通して、IoTの分野で協業を考えている参加企業とのマッチングを行います。

イベントの前半は株式会社インフォバーンCVO小林弘人氏、株式会社CAMI&Co.代表取締役社長神谷雅史氏、ライフハッカー[日本版]の兄弟メディア・ギズモード・ジャパン編集長の松葉信彦によるトークセッションが行われました。その模様については、ギズモード・ジャパンのこちらの記事をご覧ください。

この記事では、全11社によるピッチの模様をまるごとお届けします!

「がんばらない介護」を実現。「LiveConnect Care」



トップバッターの株式会社Z-Worksは、「がんばらない介護」をテーマに、介護分野でのIoTの活用に取り組んでいます。代表の小川氏自身も介護経験があり、「自分が欲しいと思うシステムをつくった」とのこと。

現在、介護事業に携わる人の3年後の平均離職率は70%以上で、負担の多い労働環境がその原因だと小川氏は言います。そうした状況を改善することを目的に、人海戦術で行っている介護現場での「見守り業務」を、IoTで代行する「LiveConnect Care」というサービスを開発しました。



「心拍センサー」や「人感センサー」で安静時の心拍数や呼吸数を検出することで、要介護者の寝返りや離床行動(ベッドからの立ち去り)についても検出し、スマホのアプリに通知します。

重篤化のよくある原因として、ベッドからの転倒に気付かず朝まで放置された結果、肺炎などの病気になってしまうというケースが挙げられるそうで、そうした事故をなくすこともこのサービスの大きな目的です。いま日本では「健康寿命」と「実寿命」に解離があり、これを縮めることが介護自体の問題を減らすことにもなるとのこと。

また、今後介護現場が施設ではなく在宅になってくるということも考え、自宅でも使えるように3G通信モジュール入りのゲートウェイを提案するなど「続けられる介護」を目指していきます。


360度カメラで鳥を撃退する「KAKA-THETA(カカシータ)」


リコー新規事業開発部・澤田氏による「イノべーション!」コールから元気にスタート

2番手は株式会社リコー。今回紹介されたのは、超小型IoTボード「Bizcuit」。360度カメラの「THETA(シータ)」にとりつけることができ、店舗やイベントなどで来場した客がどう動いたかを把握する「行動分析ソリューション」を目的として開発されました。



そして、これを応用したのが農業事業者向けの"近未来型鳥獣被害撲滅ロボット"「KAKA-THETA(カカシータ)」。物体が近づくとTHETAで撮影し、画像解析をして、鳥だった場合はクラッカーで撃退するというユニークなプロダクトです。


会場には実物の「KAKA-THETA」が展示してありました。

スマホで簡単戸締まりチェック! 「leafeemag」



3社目の株式会社Stroboは昨年2月創業で、他社メーカーとコラボしてIoT製品の開発を行っています。今回紹介した製品は3つ。姿勢を見える化して「座りすぎ」問題を解決するスマートチェアアプリ「CUXINO」、建物の中で空いているトイレがわかる「aiteru」、そしてスマート窓センサー「leafeemag」です。



「leafeemag」は、数センチほどのセンサーを窓に貼るだけで家じゅうの戸締まりを確認できるサービス。センサーをBluetoothでスマホとつなぎ、アプリで窓の戸締まりを一覧で確認することができます。朝急いでいる時など、時間がないときには便利そうです。

また、エアコンのつけっぱなし、冷蔵庫の開けっ放しなども確認できます。価格は1000円台を想定しており、とてもお手頃。


「leafeemag」はクラウドファンディングのMAKUAKEで先行予約受付中。


「dリビング」でIoTを活用したサービスを提供



続いて4社目は株式会社NTTドコモ。「dリビング」は、顧客の暮らし・生活をサポートするというコンシェルジュ的サービスで、月額450円で家事サポートやさまざま緊急トラブルに対応してもらえます。


緊急トラブル対応は、24時間365日出張費・作業費無料。


そして、現在この「dリビング」とIoTを掛け合わせた新しいサービスを検討中。すでに実用化されているものとして、部屋のみまもりサービスがあります。スマホやタブレットを家に置いておき、そのカメラで動体検知を行います。なにかが動くと写真を撮ったり威嚇音を鳴らしたりするという防犯の他、高齢者の方など離れて暮らす家族の見守りにも利用できます。

また、不在時でも安心して家事サポートサービスを利用できるように、「スマートロック」を活用した実証実験を現在行っているとのこと。


なくすを、なくす。世界最小のIoTデバイス「MAMORIO」



5社目はMAMORIO株式会社。紹介するのは、なくしたものをみつける世界最小のIoTデバイス「MAMORIO」です。同社は「なくすをなくす」をミッションに、なにかを失って悲しむ人を減らしたい、という想いから立ち上がった会社です。


会場に置かれていたMAMORIO。スマホとペアリングし、財布や鍵などの貴重品に付けるだけ。


MAMORIOの主な機能は2つあり、1つは「紛失防止アラート」。たとえば、MAMORIOのついた財布を家に置き忘れるとスマホに通知が送られます。このとき通知に気が付かなくても、最後に財布があった場所をトラッキングできるので、アプリを確認すれば「家にある」ということがわかり安心できます。

もう1つは、みんなで探す「クラウドトラッキング」。これはすべてのMAMORIOユーザーのスマホをアンテナ変わりして、自分の紛失物を探すという機能。MAMORIOがついている財布が落ちていたとして、別のMAMORIOユーザーがその前をすれ違うと、自動的にサーバーを通じて持ち主に位置情報を伝えてくれます。このクラウドトラッキングは、利用者が増えれば増えるほどカバー範囲も広がっていきます。



また、クラウドトラッキングの技術を活用し、今後さまざまな分野とのコラボレーションも目指しているとのこと。最近では株式会社エーザイと提携し、Me-MAMORIOという認知症の方向けの「お出かけ支援ツール」を開発して話題になりました。



7色のタグで、あったらないいなを実現する「MESH」



まだまだ折り返し地点! 6社目の株式会社ソニーが紹介するのは、「あったらいいなを実現する」という想いからつくられたという「MESH」。



「MESH」は、ブロック状のセンサーとアプリをつないで、身近なIoTツールをプログラミングなど知識がなくでも手軽につくることができるという、なんだか楽しそうなプロダクトです。全7色あるこのタグは、それぞれ「LEDライト」「ボタン」「人感センサー」「動きセンサー」「明るさセンサー」「温度・湿度センサー」「GPIO」という機能を持っています。

たとえば子どもの帰宅を知らせる鍵入れ箱をつくったり、オフィスであれば人感センサーで会議スペースの利用状況を把握するツールをつくったりなどの利用例があります。こちらのページでは「レシピ集」としてさまざまな事例が紹介されいるので、ご覧ください。

実際に「MESH」を利用した商品やサービスの開発も想定しており、SDK(ソフトウェア開発キット)やGPIO(汎用入出力)といった拡張キットも用意しているとのこと。



家具業界のアップルを目指す! 家具×IoTで家電を"透明"に



7社目は「家具業界のアップル」を標榜するKAMARQ社。世界展開を前提としてシンガポールに本社を置き、生産拠点もインドネシアにあります。社名はインドネシア語で「私の部屋」という意味だそうです。

家具×IoTをテーマにする同社ですが、「家の中にIoTを浸透させるには、家具も含めたライフスタイルの提案が重要となる」と代表の町野氏は語ります。そこで、「家電を透明にする」をクリエイティブ・コンセプトに、家具と家電の融合をはかっているわけです。



そして、その第1弾のプロダクトが「Sound Table」。その名の通り、天板から音が出るようになっているテーブルです。小型のコンピュータボード「Raspberry Pi(ラズベリー パイ)」が内臓してありSIMカードも刺さるため、世界初の"オンライン"家具であるとのこと。

オンラインなのでクラウド経由で音楽を再生することも可能。今後はセンサーを付けて温度や湿度を測り、リアルタイムで熱中症の注意報を出すといったような展開も考えているそうです。



また、家具のサブスクリプション・モデル導入も検討中とのことで、これは家具業界を大きく変える取り組みになりそうです。


スマホで家の中をコントロールする、東急グループの「インテリジェントホーム」



8社目は東京急行電鉄グループのConnected Design株式会社。東急電鉄、イッツコミュニケーションズ、ニフティの3社によるジョイントベンチャーです。

東急グループは中期3カ年計画で「日本一住みたい沿線」を目指しており、同社はグループの1社として安心・安全のスマートホームづくりを目指しています。



スマホで家の中をコントロールするサービスとして「インテリジェント ホーム」を展開、各種センサー、スマートロック、IPカメラ等を利用し、家電コントローラーや戸締まり、子どもの見守りなどができるようなシステムを提供しています。

今後は法人向けにホテルやオフィスへの展開も考えている他、東急沿線のみならず全国展開を目指し、全国CATV30社、ディベロッパー、ハウスメーカーとも提携していくとのこと。


台湾にも拠点。IoTプロダクトの企画・製作支援サービス「39Meister」



9社目は株式会社ハタプロ。「モノづくりとインターネット技術で未来を支える」をコンセプトにIoT機器の開発・製造を行う会社で、日本と台湾の2拠点で活動しています。

代表の伊澤氏は、「台湾は工業技術に優れた国。iPhoneはアップルとホンハイがタッグを組んで世界に放たれた製品ですが、なぜアメリカと台湾という遠く離れた国同士でこのようなイノベイティブな製品が生まれて、日本と台湾という距離も文化も近い国で生まれなかったのか。そんな問題意識を持った日本人と台湾人で運営している会社です」と、台湾に拠点を置く理由を語りました。

主なサービスはIoTゲートウェイデバイスの開発・提供、IoT製品の受託開発・共同事業の他、大学発のベンチャーとして産官学のIoT教育や共同研究なども行っています。ソフトウェアとハードウェア、両方に知見のある珍しい会社として評価されつつあるとのことでした。



また、NTTドコモと共同で、「39Meister」というIoT製品の事業支援・受託製造を行うホワイトレーベルメーカーの運営も行っています。


「私のマンションで○○ができるの!?」と思ってもらえるコトを一緒に考えてくれる人募集中!



10社目は三井不動産レジデンシャル株式会社。今回は「IoTソリューションを求めている側」としてピッチに参加しました。モデルルームに来場した人や同社のマンションに住んでいる人が、「このマンションでこんなことができるんだ!」と喜んでもらえるようなることを一緒に考えてくれる会社を探しに来たそうです。



同社での事例としては、住宅内の「住宅内の電力データの利活用」が挙げられます。「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメントシステム)」や「三井のすまいLOOP」等の技術を組み合わせ、見える化された各住人の電力使用状況からライフスタイルを分析し、それにマッチした優待サービスを提供するというものです。たとえばキッチンの電力消費を分析し、少なければ「外食が多い」と判断、レストランのクーポンをプレゼントします。

これらのサービスは今後もっと改善し、電力データを提供するお客様が十分に満足できるサービスを提供していきたい、とのこと。



2014年には、IT化された住宅で居住者の生活がどう変わるのか、そのビジョンを示す「2020ふつうの家展」という体験型の展示会を行いました。その中の「ツナガル窓」という展示は、窓にテレビ電話を内蔵させ、遠くの人と近くで会ってるように通信できるというもの。このような"家"ならではのIoTを絡めたサービスを、今後パートナー企業と考案していきたいとのことでした。

画像センシング技術×IoT



ラストはオムロン株式会社。「okao vision」と呼ばれる画像センシング技術を活用し、顔認識や表情推定、年齢推定といった技術とIoTを組み合わせたデバイスを開発しています。たとえば不在時の自宅の見守り等、カメラ側が人を検知して利用者に通知するといったようなソリューションをつくることができます。



画像センシングコンポ「HVC-P2」は、他のデバイスと組み合わせて「周辺の人の状態を理解する機能」を追加することができる機器組み込み型の画像センサです。

たとえば自動販売機や券売機と組み合わせれば、購入した顧客の属性情報(年齢、性別、表情)や視線情報(商品への注目度など)から客層分析を行うマーケティングのツールとして活用できます。




ピッチ終了後には、来場者と参加企業を交えた懇親会が行われました。この11社のIoTに関する取り組みには、今後も注目していきたいですね。


【9/14開催】生活×IoT ピッチ+マッチングイベント | ドコモ・イノベーションビレッジ

(開發 祐介)