心地よい朝の時間と言えば、真っ先に思い浮かぶのがパンケーキです。その姿は「さあ、ここにいらっしゃい。アツアツで炭水化物たっぷりの私が毛布のようにあなたを包み込んであげるから。もう安心よ」と語りかけてくるようです。どの文化にも朝食の定番があるようです。「フラップジャック」、「パンケーキ」、「クレープ」など呼び方はさまざまありますが、欧米諸国のおいしいパンケーキをご紹介します。

アメリカの定番パンケーキ



アメリカとカナダではポテトチップのフレーバーがまるで違います(もっとも、最近アメリカにはAll Dressedというケチャップ、BBQ、塩、ビネガーなどすべてのフレーバーが入ったものがありますが)。でも両国はパンケーキに関しては共通です。

アメリカとカナダではパンケーキの材料は、小麦粉、卵、牛乳、そしてベーキングパウダーなどの膨張剤が一般的です。このフワフワの朝食の定番は「パンケーキ」、「フラップジャック」、「ホットケーキ」、「グリドルケーキ」などいろいろな名前がありますが、バターと本物のメープルシロップをつけて食べる点ではどれも同じです。

パンケーキのタネを作るのもとても簡単です。箱入りのパンケーキミックスも売っていますが、自宅の戸棚にある材料で作れるので、そんなものをわざわざ買う必要もありません。

パンケーキを48枚作るには(ブランチのときの食欲の程度によりますが、これだけ作るにはちょっと時間がかかります)、The Kitchnのレシピに従って食欲に応じて分量を調整してください。

中力粉8カップグラニュー糖1/2カップベーキングパウダー大さじ2ベーキングソーダ小さじ2塩小さじ2

パンケーキミックス2カップに(約12枚のパンケーキができます)、牛乳3/4カップ(私はバターミルクを足すこともあります)、卵2個、溶かしバター大さじ4、バニラエッセンス小さじ1を入れてもOKです。まず汁気の多い材料を混ぜ合わせ、それからゆっくりとそれを粉に注いでいき、滑らかになるまで泡立てましょう。バターを敷いたフライパンで焼きあげたらメープルシロップをかけます。


ちょっと一工夫

バリエーションをいくつかご紹介しましょう。何らかの理由で卵が食べられない人でも温かいフワフワのパンケーキを食べるには、ひよこ豆かひよこ豆の汁で代用してください。

ひよこ豆の缶詰に入っている汁(真の食通なら「aquafaba[豆の煮汁]」と呼びます)は、卵を使えないときに卵の代わりに料理をフワフワにしたり、材料のおさまりを良くして安定させることができます。Food Labは完全ビーガン用の素晴らしいレシピを紹介しているので、ビーガン系の人は是非のぞいてみてください。豆の煮汁は他の食材と混ぜ合わせる前にしっかり泡立てると効果抜群になるので、少しだけ前準備が必要ですが、柔らかなパンケーキにはその手間をかけるだけの価値があると思います。

手間はできるだけ省きたいのが人情です。熱い鉄板の前に立って何枚ものパンケーキをひっくり返して焼く代わりに、大きくて厚みのあるパンケーキを1枚だけ焼いてベーコンを添えるのはどうでしょうか。炊飯器を使えばこれ以上ないほど簡単にできてしまいます。パンケーキの種を炊飯器に注ぎ込み、スイッチを入れたら、あとは待つだけです。炊飯器ができあがりを知らせてくれたら、巨大なパンケーキをひっくり返して、切り分けてお好みのトッピングを乗せてください。


オシャレ感を出す



さて、今度は少しオシャレ感を出てみましょう。クラシックでプレーンなパンケーキも悪くないのですが、甘を加えるにしろ塩気を加えるにしろ、好みのブランチを創作する完璧なキャンバスであるとも言えます。いくつかアイデアをご紹介します。

こまごましたもの:チョコレートチップ、ブルーベリー、ナッツ、刻んだココナッツなどを種に入れると素晴らしい出来上がりになります。私はハロウィンのキャンディを刻んでタネに混ぜたら、眠り姫のように魔法で5年間の眠りについてしまいました。

スパイス:シナモン、カボチャの種(今が旬です)、ナツメグ、カレーパウダーなどを小さじで何杯か入れるとパンケーキがぐっと引き立ちます。

冷凍して挟む: のねっとりしたヌテラ(チョコレート風の甘いスプレッド)を小さな円盤状にして固まるまで冷凍します。フライパンにタネを置いたら、その上に冷凍したヌテラを乗せ、上からさらにタネをかぶせます。あとは普通のパンケーキのように焼くだけです。普段より少しだけ気取った感じでしょうか。ナッツバター、ジャム、クッキーバターなどでもお試しください。

トッピング:ホイップクリーム、新鮮なバター、バナナ、フルーツシロップ、ジャム、Reese's Pieces(チョコレートの中にピーナツバターが入ったお菓子)など、何でもOKですし、いっそ全部一緒に入れてしまってもいいかもしれません(でも天才的な配合でうまくいく可能性にかけるよりは、やはりやめておくのが無難でしょうね)。

肉類:焼きたてのカリカリベーコンはパンケーキに添えるのにぴったりですが、細かく刻んだ乾燥ベーコンをパンケーキのタネに混ぜて甘味と塩気の相乗効果を狙うのはどうでしょうか? 生ベーコンやピリ辛のソーセージでも試してみましょう。塩気の多い豚肉加工品を使うのがコツです。

ヒーローが必ずしもケープをまとっていないのと同じように、パンケーキもフワフワしたものばかりではありません。もっと薄くてひだひだにするタイプのものもあります。アメリカのパンケーキの、ヨーロッパにいる親せき筋みたいなものです。


失敗しないクレープの作り方



クレープ、スウェーデン式パンケーキ、イギリス式パンケーキはとても似通っていてどれもおいしいです。わずかな違いは、卵、液体、粉の配分ですが、どれもフライパンでうまくひっくり返すことが大切です。上記のビデオを見てやり方をマスターしましょう。

イギリス人はパンケーキに特別な思い入れがあるようです。イギリスやアイルランドの祝日「告解の火曜日」は別名「パンケーキ・デイ」と呼ばれています。ある美しいイギリス人女性がその日の魅力的なイギリスの伝統について私に教えてくれたことが忘れられません。その日に作るパンケーキはシンプルで、膨張剤は使いません。パンケーキというよりクレープのように食べるもので、塩気があるか虫歯になりそうなぐらい甘いものになります。私が使っているのは友人のナタリーが紹介しているレシピですが、これは、試し焼きにして捨ててしまう1枚目を含めて8枚分ぐらいできる分量です。

小麦粉1カップ卵1個、卵黄1個牛乳1カップバター少々塩ひとつまみ

上記のリンクをクリックしてナタリーのレシピに目を通してみましょう。とても簡単なので、トッピングに気を遣う余裕がもてるのが良い点です。トッピングに関しては好きなものを選んで冒険してみれば良いと思いますが、代表的なものをあげておきましょう。

レモンと砂糖:伝統的なイギリスのトッピングで、「パンケーキ・デイ」には欠かせません。新鮮なレモンのしぼり汁と白砂糖を振りかければ、できあがりです。

ゴールデンシロップ:アメリカでは手に入りにくいゴールデンシロップ(イギリスで販売されているシュガーシロップ)ですが、ちょうど北米でメープルシロップをかけるのと同じように甘味を加えるために使われます。甘くておいしいですから、何にでもあいます。

上述のこまごましたトッピング:ヌテラ、新鮮なフルーツ、刻んだキャンディやココナッツ、クリームチーズや肉などの塩気のあるもの、それ以外にも何であれ、アツアツの炭水化物の毛布でくるむとおいしいです。



スウェーデン式パンケーキは他のヨーロッパ系パンケーキより薄くて卵の分量が多く、食べごたえがあります(どのレシピを見ても卵は3個から5個使っていて、タネにサワークリームを入れることもあるようです)。レモンカード、サワークリーム、粉砂糖を使うのでフランス式やイギリス式より甘みが強いのも特徴です。スウェーデン式パンケーキに挑戦してみたいなら、ニューヨークタイムズ紙に掲載されたこの記事よりはるかに手間がかかることは覚悟してください。


ひっくり返さずに作るパンケーキ


最後の2つのパンケーキは鉄板やフライパンで作るわけではないので、じょうずに裏返す必要はありませんが、見ただけで「おお!」と感嘆の声をあげてしまいそうです。


ダッチベイビー



私は鉄製のフライパンで作ったものは何でも好きですが、パンケーキとポップオーバーの繊細さが合体したダッチベイビーはぜひみなさんにも試して欲しい一品です。卵がたっぷり入った優しいこのお菓子を作るには、鉄のフライパンを220℃で予熱して、その間にタネを作ります(私はThe Kitchnのレシピが好みです)。タネを少し休ませたら、熱いスキレットの中に少しずつ渦巻き状に流し込み、それを15分間オーブンで焼きます。パンケーキがフワフワに膨れたら、オーブンから取り出して、自然に膨らみがしぼんでいくのに任せます。粉砂糖を振りかけたらくし形に切り分けて、甘いトッピングと新鮮なレモンのくし切りを添えればできあがりです。


タコ焼き器そっくりの焼き型で作るエイブルスキーバー



デンマークの伝統料理であるエイブルスキーバーは専用の焼き型(エイブルスキーバー用パン)がないと作れませんが、一度焼き型を買ってしまえば、いつでも作れます。タネはアメリカのパンケーキとほとんど同じですが、半球形をした穴がいくつか空いた日本のタコ焼き器とそっくりの専用のパンで焼くと、平らなフロッピーディスク状にはならず、フワフワの小さなボールができます。レシピが欲しい人には、Serious Eatsのこちらのレシピをお勧めします。

タネを混ぜ合わせたら、大さじ1のタネを専用パンの穴の1つに注ぎ込み、好みでコケモモのジャムを乗せます。そのうえにさらに大さじ1のタネをかぶせてください。4分焼いたらひっくり返して(箸を使うとうまくいきます)、さらに3分間焼きます。レモンを添えて、どうぞ召し上がれ。

ここでご紹介したパンケーキのどれを食べても、朝が楽しく幸せにならないときは、もう手の施しようがありませんから、ベッドに戻った方が良いでしょう。でなければ、幸せを感じられるまで何種類ものパンケーキをとにかく食べ続けるしかありません。


Claire Lower(原文/訳:春野ユリ)
Illustration by Sam Woolley. Photos by Miss Messy, Bobbi Bowers, Aubree Flink, Sam Bithoney, and Mike McCune.