音楽は私たちの脳に、あらゆる形で影響を与えています。アップビートな音楽はワークアウトの気分を盛り上げ、クラシック音楽は集中力を高めてくれます。そして、悲しい音楽にも素晴らしい効果があります。今回は、私たちがなぜ悲しい音楽を愛するのか、なぜ悲しい音楽をプレイリストに加えておくべきなのかを解説します。

ダーラム大学の音楽認知の教授、トゥオマス・エローラ氏は、人が悲しい音楽を愛するのには、大きく3つの理由があるのだと言います。1つは、悲しい音楽が、悲哀や喪失といった感情を深め、増幅してくれることです。そうした体験は決して楽しいものではありませんが、ゆっくりと内省することには治癒的な効果があるのです。2つめは、悲しい音楽が、雨の日に感じるような憂うつな気分、エローラ氏の言葉で言えば、感傷的な気分を呼び起こすことです。憂うつな気持ちは、ネガティブな感情だとみなされていますが、創造性を豊かにするのに非常に大きな役割を果たします。

3つめは、悲しい音楽に浸っている人は、純粋に感情の動きを楽しんでいることです。『Frontiers of Psychology』に掲載されたエローラ氏の最近の研究では、悲しい音楽を聴いている被験者の多くが、「激しくて、心地よく、そして悲しい」感情に突然襲われることがあると答えています。また、そうした被験者たちは、「共感的配慮」のレベルや、他者の感情への共感能力が高く、他者に慈愛、思いやり、同情の気持ちを感じやすいことがわかりました。ですので、あなたが高い共感性を持つタイプなら、悲しい音楽を聴いているうちに、ふいに感情の突風に襲われることになるでしょう。おそらくそれは、とても心地よい体験です。

共感は最も重要なスキルの1つです。共感は、他者との結びつきを強め、あなたをより幸福で思いやりのある人間にしてくれます。ですので、悲しい音楽を聴き、呼び起こされる感情の波に身を委ねてみてください。悲しい音楽を聴いても何も起こらないという人は、共感能力を高める訓練をすることで、他人から一緒にいたいと思われる人間になることができます。


Why Do Some People Love Sad Music? | Greater Good


Patrick Allan(原文/訳:伊藤貴之)
Photo by Marsel Minga.