人気コンサルの永江一石さんが、さまざまな質問に答えてくれる人気メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』。今回は地方で「介護付き有料老人ホーム」を2年後にオープンさせたいという方からの質問です。安全な食事、便利な立地、免震構造など、頑張ってはいるようですが、もっと「差別化」させる方法はないのか? そんな難問に、老人ホームの相談を受けたこともあるという永江さんが出した答えとは…?

介護付き有料老人ホームを新規建設する時の注意点

Question

いつも有益な情報をありがとうございます。身内が始めようとしている介護付き有料老人ホームについて質問させていただきたく、メールをお送りします。

身内が、2年後に地方に介護付き有料老人ホームをオープンさせる予定です。

当該施設は現在自社所有の土地に建設中です。現在別の事業を行っており、未経験の事業への新規参入となります。

そんな中、介護業界について勉強したり、話を聞いていく過程で、介護業界が抱える課題についてどのように取り組んでいくか頭を悩ませているところです。

先日(9/7)のメルマガでリンクされていたホリエモンの記事も読んでおり、そこに書かれていた内容は本人が普段から懸念している部分をズバリと指摘されてモヤモヤとした思いを抱いたようです。

介護業界はホリエモンの指摘通り堅いビジネスではありますが、利幅が薄く、収益を上げるために順次複数施設を展開していくことで収益を確保する計画です。2年後の1店舗目、また2店舗目以降の展開において、永江さんに以下の2点について、お考えをお伺いしたいと思っています。

他の介護付き有料老人ホームとの差別化について

数ある老人ホームの中で差別化を図るためのアイデアを模索しています。1店舗目の独自性として考えられるものは以下になります。

特殊な冷凍技術を利用して工場で調理した食事を提供するシステムの導入。衣食住の食の部分となりますが、レストランや高級料亭の味を利用者さんに味わっていただけます。また、この工場(HACCP 認証)の独自システムは、施設調理や既存の給食システムより食中毒などの食品汚染による感染症のリスクを格段に下げられます。 免震構造の施設となっており、このような施設は全国でもまだ数件しかありません。災害時の安全性が高いことが特徴です。 JRの駅前という便利な立地にあります。田舎の山奥などにある施設が多い中、駅を降りてすぐの場所にあるため、ご家族の訪問がしやすい場所です。

これに加えて他にない特徴を持った施設にするため独自のサービスを提供するとしたら、どのような事が考えられるでしょうか。いつも永江さんの着眼点には感嘆しており、他の方の質問に対する「私ならこうします」という回答に目から鱗を落としまくっていますのでお知恵をお借りできたらと思っています。

資金面で制限があるため大規模なハード面の充実などは難しいのですが、アドバイスがあれば是非お願いいたします。

永江一石さんの回答

有料老人ホームに関しては、以前上場企業の子会社の相談を受けたことがあるのである程度の知見はあります。

「数ある老人ホームの中で差別化を図るためのアイデアを模索している」とのことですが、まず前提として「ターゲットをどの層に絞るか」によって話が変わってくると思います。つまり同じ介護付き老人ホームでも、年金でギリギリ暮らす層か、数千万の入居金を即納できるような層かによって求めるサービスも違いますよね。一概に「地方都市のお年寄り」と十把一からげにはできません。

例えば後者の裕福な層が老人ホームに何を一番求めるかというと「これまで暮らしてきた自宅の近所かどうか」ということなんです。すなわち、住み慣れた場所から離れて土地勘のない所に行くのが嫌なんですね。また、家族が来た時に恥ずかしくない広いロビーがあったり、一緒に食事をとれる綺麗なレストランがあったりする施設に人気が集まる傾向にあります。実際、杉並区の高級老人ホームは入居金だけで5,000万以上かかりますが、そのほとんどが満室でキャンセル待ちなんです。

ホリエモンの言うように、いま介護保険で賄われているような施設は給料も安いし仕事もキツイので、遠くない将来ロボットや外国人労働者に置き換わるでしょう。「手堅いビジネスですが利幅が薄い」というのはその通りなんです。

ただ、そうではないところもたくさんあります。以前ブログにも書きましたがいま日本の資産のほとんどは60歳以上に集中しているので、「死ぬ時にお金を持っていけないから」と大金を払っても入所を希望する高齢者は増えてるんです。おそらく質問者さんは地方の方だと思いますが、関東にはこのような至れり尽くせりの高級老人ホームは出てきてはいますが、交通の便が良いところには土地がないので建設には困るようでした。

挙げていただいたアイデアの中で「工場で調理した食事を提供するシステム」とありますが、これだと料理を工場からテーブルに運ぶまでに冷めちゃいますよね。高級老人ホームなら施設内の調理場でシェフが出来たてを運んでます。

「免震構造の施設」というのは、ご高齢の入居者が果たしていつ起こるか分からない災害時の備えを考えているかというと疑問ですね。もちろんないよりある方が良いですが、そこに多額のコストをかけるのは違和感があります。

「JRの駅前という立地」というのは、家族が訪れやすいという点で十分アピールポイントになるでしょう。

まとめると、サービス内容の差別化の前に、まずは新規建設予定の場所がどういう土地柄なのか徹底的に調査すること。そしてそこにどんな層のお年寄りが多いかによって、コンセプトは変わってくると思います。

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『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』
著者:永江 一石
商品開発や集客プロモーションを手がける会社を設立し多くの企業のマーケテイングを行う。メルマガでは読者から寄せられたマーケティングのお悩みに対し具体的な解決策を提示。ネットショップや広報担当を中心に多くの購読者から支持されている。

出典元:まぐまぐニュース!