NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は、「豊臣と徳川が戦争」になった際の、真田昌幸が考えた戦略プランについて。著者の西股総生さんは、昌幸の考える「尾張侵攻作戦」がすでに無理があると指摘。ただし、徳川が簒奪者であるとのイメージを上手く広めることができれば、作戦の公算はかなり変わってくるとの見方を示しています。

今回のワンポイント解説(9月25日)

豊臣と徳川が戦争になったら、まず兵を出して尾張を押さえ、徳川軍の主力が進撃してきたら近江まで退き、宇治・瀬田の橋を落として敵を阻み、最終的には大坂で敵を迎え撃つ…。昌幸が遺言したと伝わる、このプランについて検討してみよう。

まず、豊臣方が数万の軍勢を出したとしても、尾張を制圧するのは無理。なぜなら、慶長16年(1611)の時点で、名古屋城の主要部分が完成していたからだ。尾張徳川家が総力を挙げて名古屋城に立て籠もれば、2万や3万の軍勢では落とせない。ただ、犬山城・加納城など尾張・美濃の諸城を落とし、徳川軍を名古屋城に押し込めるくらいなら、実現の可能性がある。

昌幸の戦略の要は、豊臣恩顧の大名たちが反徳川として参戦できる状況を作り出すこと。だとしたら、尾張に膠着状況を作り出し、徳川軍主力が出てきたら近江→京と敵を漸減しながら後退する、という作戦は理にかなっている。豊臣側が戦争の主導権を握っていることをアピールできれば、豊臣側に勝機あり、と踏む者が出てくるだろう。

この場合、豊臣家こそ正当な公儀(中央政権)であり、徳川は簒奪者だ、というイメージをうまくアピールできれば、作戦成功の公算はかなり大きくなる。そういう意味では、宇治・瀬田の橋を落として二条城を焼き、京都を軍事的制圧下に置く策は、非常に有効といえる。

ただし、尾張侵攻作戦を実現させるためには、彦根城と伊賀上野城のどちらか、あるいは両方を攻略しなくてはならない。両方面に2万前後ずつ派遣して、尾張で合流する作戦をとったとして、 成功の目算は五分五分だろう。また、仮に豊臣恩顧の西国大名が決起して大坂を目指したとしても、家康と姻戚関係にある池田氏が姫路城で頑張ったりすれば、戦況は膠着する。

つまり、昌幸プランが図に当たるかどうか、鍵を握るのは彦根・伊賀上野・姫路といった諸城の攻略戦、というわけだ。逆に考えれば、こうした事態を想定して、徳川方では名古屋城をはじめとした堅城群を築き、力量のある(ないしは信頼できる)大名を、そこに配置していることになる。

関ヶ原合戦〜大坂の陣にいたる戦間期は、名城・堅城が踵を接するように築かれた、大築城時代。うん。昌幸プランをシミュレートしながら、これらの城の役割や、占地・縄張りなどを考えてみると、リアルに面白いかもね。(西股総生)

《今週のワンポイントイラスト》
真田父子それぞれの戦略。兄は赦免を得るために、弟は仕送りを得るために、そして父は相変わらずただ一人の首を狙う為に策を練るのであった。(みかめ)

 

文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)

ナワバリスト(城郭研究家)の西股総生率いる、お城(主に山の城)と縄張りを愛する3人組

 

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最期まで、武田軍武将としてのアイデンティティーを捨てなかった昌幸。『真田丸』の最初の舞台となった新府城を歩きながら、そんな昌幸と武田家の滅亡に、もう一度、思いをはせてみませんか? 

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コース番号 03337-098 でお問い合わせ下さい。

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場所 : 新宿クラブツーリズム(新宿アイランドウィングビル)

コース番号
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今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】

「軍勢を塊と思うな。一人ひとりが生きておる。一人ひとりが思いを持っておる。それを忘れるな」
昌幸の言葉は、歴史に対峙する私たちへのもの。戦国武将、と一括りにしない。一人ひとり、思いを胸に生きた人間だった。#真田丸

— ぬえ (@yosinotennin) 2016年9月25日

すごく寂しいし切ないんだけど不思議なほどに悲しくないのは私達が信繁や信幸の視点という誰より近くで真田昌幸の輝きをずっと見てきたからだし、ひとりぼっちで死んだ太閤を見てるからだ。なんかまだ死んだ気がしないんだよ草刈昌幸。ありがとう。ありがとう。 #真田丸 #真田昌幸は永久に不滅です

— 雁 (@m_hntkr) 2016年9月25日

家康に下がれと言われた加藤清正がここで、秀頼の後ろに行こうとしたのを辞めて、秀頼の顔が見える方、家康側に座したのは、
家康の方が下座=秀頼が上座=秀頼の方が偉い
と暗に態度で示していて、だから家康と正信がやや動揺している #真田丸

— フラワードクトリン (@flowerdoctrine) 2016年9月25日

この「自分の城に呼びつける事が相手の臣従を表す」、というのがこの時代の常識だったとされます #真田丸

— まとめ管理人 (@1059kanri) 2016年9月25日

今日だけで本多忠勝、加藤清正、真田昌幸の三人をナレ氏させたアナウンサー・・・君は一体何ものなんだ・・・ #真田丸

— キュゥべえ (@QB0) 2016年9月25日

白髪パッパのガンダルフ/ダンブルドア感…。#真田丸

— 橋本麻里 (@hashimoto_tokyo) 2016年9月25日

有働さんのナレーションで葬り去られた主な方々
 織田信長
 穴山梅雪
 明智光秀
 滝川一益
 柴田勝家
 豊臣秀長
 小早川秀秋
 本多忠勝 ← New!
 加藤清正 ← New! #有働無双 #真田丸

— てつ(その2) (@mntp_another) 2016年9月25日

超イケメン秀頼様や…大きな体はご祖父母の浅井長政様・お市様に似られましたかね。母上のお茶々様も当時としては高身長だったとか。#真田丸

— ぬえ (@yosinotennin) 2016年9月25日

活躍した人たちがどんどん死んでしまって、戦国時代が過ぎ去っていく感がひしひしと感じられたんだけど、それにつれそんな中で起きた大坂の陣って一体何だったんだろうと改めて考えてしまう(歴史素人なので…) #真田丸

— さいころ (@dice445) 2016年9月25日

昌幸パパを始め、世代交代の回。凡庸でなく、自立した強い意志をもった秀頼公の姿に、脅威を感じた為に大坂の陣に持って行く流れが無理が無く、見事。治部の清正への遺言が秀頼公の守護と言う事にブレが無く、最後まで私心無く豊臣に尽くした姿がここに来たか。#真田丸

— さらら (@sarara1001) 2016年9月25日

上田に戻る希望がなくなって白髪で何のモチベーションもなくなったように見えたパッパだったけど、孫と子にジャイアントキリングの仕方を伝承し希望を託したのがパッパの最後の意地。 #真田丸

— namaco (@namacocha) 2016年9月25日

#真田丸
今回の昌幸で何が泣けたかって臨終のとこより村同士の喧嘩の相談に一瞬その気になりかけたものの空しくなって口を閉ざしてしまうところだよ…すごく昌幸の悲哀が伝わってきたなぁ(T_T)
でも孫のことになると子どもの喧嘩にガチで卑怯な手段を教えこむ昌幸も最高なんだケドさw

— あそコロ♪優パパ★ (@asokoro_yupapa) 2016年9月25日

今日の一話は笑いあり、突っ込みどころあり、涙あり、さらに伏線の回収や新しい展開もあり非常に真田丸らしい回で、ひたすらずっと見所ばっかりで、ラストは真田パパを厳かに見送ったのに次回予告の兄弟の会話に全部持ってかれた感。#真田丸

— 玉葱@カアサン魂㊗イエモン再集結❗ (@oni_on_the_head) 2016年9月25日

#真田丸、遂に昌幸の最期か…。死の直前まで孫に喧嘩の基本を教え、息子に戦の本質を説く。徹頭徹尾、戦うことがこの人を支える軸だったんだなぁ。最期は「我が両目の如し」と寵愛してくれたお屋形様に迎えに来てもらって、一緒に信濃に還れたんだと思いたい…。今作は最高の昌幸像を見せてくれた👏🏼

— きのこゴリラ (@won_178_han) 2016年9月25日

誰も本多正信の長寿を祝わないのかね?70歳過ぎても未だ参謀として健在。生涯現役だよ。
#真田丸

— 村咲かがみ ❦脱力人生❦ (@mementomori427) 2016年9月25日

昌幸パッパが命を懸けて1番イキイキ活躍していただろう武田家にいた時期に、馬の嘶きと共に「おやかたさま!」と追いかけるように今生を去っていった。
BGMまで勇壮と。
御見事!見事としかいいようがなかった。 #真田丸

— 猫塚@塩小姓 (@nekomekko) 2016年9月25日

出典元:まぐまぐニュース!