あの頃、俺たちを熱くした「昭和のオモチャ」をオトナ買い(落札)して振り返るシリーズ連載。久しぶりとなる今回は、これまでとは少し趣向を変え、群馬県にある「レトロ自販機の聖地」と呼ばれるスポットを直撃! 昔懐かし「10円ゲーム」を数多く所有するという人物に、レトロゲームの魅力について大いに語っていただきました。

あるところにはある。未だ現役の10円レトロゲーム

これまで「野球盤」「チクタクバンバン」「ドライビングターボ」「パワーグローブ」といった、懐かしのオモチャを入手し遊び倒してきたこの企画。今回は「出張編」として、昔懐かしのレトロゲームの今を追うべく、群馬県伊勢崎市にあるレトロ自販機の聖地「自販機食堂」を訪ねました。

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昔懐かしいハンバーガーやトーストの自販機と共に、1プレイ10円のレトロゲームや、懐かしのオモチャが出るガチャガチャなどが設置されています。それらのレトロゲームを設置している土屋さんに、話をお聞きしました。

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――なぜ「自販機食堂」に10円ゲームを置こうと?

最初はお客として来たのですが、ちょうど自販機食堂のオーナーさんも「10円ゲームのようなものも置いてみたい。でもオークションなどでは高くて買える状況ではない」とおっしゃってたんです。自分も設置先を探していたので、お互いの求めるものが合致した形です。

――そもそも10円ゲームは、どうやって手に入れたのでしょう?

最初のゲームは20年ほど前に、店を閉めるという駄菓子屋さんから譲ってもらったんです。古いものがもともと好きで、ガチャガチャや超合金やフィギュアなども集めているのですが、趣味が講じて駄菓子屋みたいなこともやっていました。そうやって、自分のコレクションとして次第に集めていきました。

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最近は子供の数も減っているし、店を閉める駄菓子屋さんが沢山ありまして……。でも店を閉めるとなると、ゲームも処分されてしまうことが多いんです。でも、せっかく遊べるもので懐かしさが詰まった物が、そのまま捨てられてしまうのは、あまりにももったない。保護して修理して20代や30代、もっと若い子どもたちにも遊んでもらって、知ってもらえたらと思っています。

……こういったものも、今ではもう貴重になってしまって。

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――懐かしい!専用メダルや当たり券ですね。

今、こういったものは本当に手に入らなくて……。お客さんの中にもこういった懐かしい当たり券が出ると懐かしくて、記念品感覚で持って帰っちゃったりするんですよね。でも、そうやって持って行かれてしまうと困るので、今はアクリル板を加工して、同じ寸法の当たり券を作成していたりもします。持ち帰りたくなる気持ちもわかるんですけどね。

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(今ではその当たり券で駄菓子と交換するという、昭和の頃と同じようなシステムにしているそうです)

GW中は1台で売上2万! バケツいっぱいの10円玉

――ところで、10円ゲームの売上というのは、どのくらいあるのでしょうか?

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ゲームによっても違うのですが、ちょうど今置いてある「W・ATTACK」は人気があります。過去にこのお店がテレビで紹介されたことがあって、その時はゴールデンウイーク中に、10円玉がバケツいっぱいに溜まったことがありました。……バケツいっぱいで、だいたい1台で2万弱の売上ですかね。その時は流石にびっくりしました。

「昭和レトロ」ってよく言いますけど、過去に流行ったものというのは、今でも通用する部分もあるんだなって、再認識できましたね。ただ、そのゲームはゴールデンウイークが終わった1週間後に壊れてしまって……。レトロなだけに、さすがに連続使用には絶えられなかったようです。

――こういう年代物になると、修理も大変ですよね。直してくれるところはあるのですか?

このゲームの場合は、このお店(自販機食堂)に通うお客さんに、基盤の設計などがイチからできる方がいて……。その方にお願いして、連続使用に耐えうるように新設計で作ってもらえたんです。

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内部に関しては、古いものや耐久性に難があるものは全て交換して、ゼロからの設計で同じものを今の技術で作ってもらったんです。その方のコダワリでプリント基板でしっかりと。ありがたいですよね。

――技術者のコダワリ(※)ですね。

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(※話題に挙がっていた“技術者”の方。10円ゲームだけでなく、ハンバーガー自販機のニキシー管の修理も行なうことも。この時も基盤を新設計していました)

レトロ自販機とレトロゲームが生み出すシナジー

――なぜ人々は10円ゲームをここまでやり込むのでしょうか?

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当時は10円玉を握りしめて、これを30円や50円の金券に変えようと真剣に挑んだものですが、その当時子供だった人たちは、やはりその当時の「勝った」「負けた」の記憶を覚えていて、今でも繰り返し楽しんでくれるんです。当時の思い出に挑む感覚ですよね。

また、この「自販機食堂」に関して言えば、以前はゲームをクリアした時の景品でポイントが貯まって、店独自のオリジナルグッズと交換できるという試みもしていました。そのため、遠くから遊びに来てくれた人たちは、「せっかくだから記念品を持って帰ろう!」ってことで、一日ずっとやり込んでくれたり……。また、このお店自体観光地みたいになっていて、お客さんとしては予算があるので、もうちょっと使っていいなって思うんです。

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「自販機食堂」って、レトロな雰囲気が味わえる観光地と食堂が混じった、不思議な場所だと思うんです。ただ食堂とは言えど、どう頑張っても1,000円って使い切らないんですよね。食べ物のレトロ自販機はハンバーガー・ラーメン・うどん、トーストなどありますが、どうしても3種以上は食べ切れない。なので、一通り食べたいものを食べて満足してもらって、余ったお金で懐かしのゲームをプレイして、懐かしの思い出に浸ってもらう。そんな感じでしょうか。

レトロ自販機自体が、すごくいいコンテンツだと思うので、同じくレトロな10円ゲームとは、すごく相性が良いんでしょうね。

――レトロ感で言うと、ガチャガチャもすごいですよね。

ええ。ガチャガチャも設置しているのですが、純粋にガチャガチャが好きという方もいらっしゃいます。それはもう取り憑かれたように、ひとりで20回、30回と回している姿を見ることもありますよ。

ガチャガチャの景品も、昭和の景品です。昔のキン消しですとか、ヤマトの消しゴムですとか、スーパーカーですとか。昭和レトロな自販機を求めて来て、同じ昭和レトロなものが、ガチャガチャから出てくるといったところが、ワクワクとした気持ちになってもらえるんだと思います。

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――ちなみに、ガチャガチャの景品はどうやって手配しているのですか?

当時のものをいくつか、自分のコレクションから詰め込んでいます。近辺ではここでしか遊べないものなので、やはり魅力的に感じるのではないでしょうか。

握りしめた10円に宿る魔力

――土屋さんにとって、レトロゲームの魅力とは何でしょうか?

1回10円という手軽さが、根底にあるのだと思います。

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単純明快なのですが、バラエティにも富んでますし、なんとなく続けて遊びたくなってしまうものなのではないでしょうか。中には本当に熱中し過ぎて、取り憑かれたように遊んでいる方もいます。

この10円で、だめなら次の10円で……という感じで、思わずハマってしまう、続けてしまいたくなるという……そんな不思議な魅力があるのだと思います。うまくは言えないのですが「10円の魔力」ってことなんでしょうかねぇ。

 

あの頃、我々を熱くした10円ゲーム。作り手の思い、残したいという思い、そしてそれに向かう1投10円の真剣勝負! それは年代を超えて、今も変わらず熱い気持ちのままでした。

ちなみに、この自販機食堂に置かれているレトロゲームは、定期的に変更されています。

例えば「新幹線ゲーム」「グランプリ」「ワールドサッカー」などなど。ひょっとしたら、あなたが幼き日々に遊んだゲームたちも並ぶことも……。

自販機食堂では、土日限定でレトロゲームコーナーを設置しています。10円玉を握りしめ、真剣に挑んだ、あの日の戦い。その続きに時を超えた今、挑んでみるのもいいかもしれません。

取材協力:自販機食堂

 

文/小暮ひさのり
ガジェット類が大好物。雑誌やWebで執筆しているテクニカルライター。群馬県在住で農業が趣味であるため「兼業ライター」と揶揄されることもあるが、本人的には農業1割、執筆9割。

出典元:まぐまぐニュース!