家に帰ってきたらまず手洗い、ですが…、皆さんはどんな石鹸を使っていますか? 先日、アメリカのFDA(米食品医薬品局)が、「殺菌性石鹸」、いわゆる薬用石鹸を販売禁止にするというニュースが伝えられました。日本では特に規制もなく、ごくごく普通に売られているのですが、このまま使い続けて大丈夫なのでしょうか。無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』の著者で科学者のくられさんに解説していただきました

暮らしと科学:殺菌セッケンは害悪なのか?

先日、アメリカのFDAの発表では、トリクロサンなどを配合した殺菌性セッケンの販売を原則禁止するお達しを出したことで、日本でも該当商品はどうなのか、本当に害があるのかなどを気にしている人も多いかと思います。薬用石鹸ミューズをはじめ、デンタルリンスの類。

ここで勘違いしてはいけないのは、これらの成分が「悪い」のではなくこれらの成分の「用途」が悪いと言えます。これらの成分自体が、はっきりした有害性が確認されたというより、カジュアルすぎる用途で使いまくると良くないネ、というのが理由のようです。

例えば、口腔内のデンタルリンスなどで菌の数をコントロールするのは虫歯予防にある程度効果が期待できますし、少なくとも口臭を抑えるには極めて効果的です。

じゃあ手も不衛生だから殺菌しまくればいいじゃんという感じもあるのですが、半分くらいは自分の論なのですが、人間の肌は極めて多様な生態系であり、そこに殺菌剤を無闇にぶち込むと、ロクなことにならないことが多いというのが雑感としてあります。

というのも、人間の肌はまず体から分泌される皮脂も、その常在菌が分解することで保湿性が高まったり、薄い角質層はそうした常在菌の働きがあることを前提に我々の体ができているからです。故にそれらを無闇に殺しまくるセッケンを常用するのはあまり賢い選択肢とは言えないので、手洗いセッケンに強い殺菌剤を使うことは肌にもよくないと言えます。

またこうした成分は界面活性剤と一緒になることで指紋の奥に残りやすく、丁寧に洗い流さないと薬剤刺激も起こりやすいということで、相当汚いものを触りまくったあとで料理を作らないといけないといった状況以外では、使うメリットがないといえます。ましてや、育ちさかりの子供に強制的に使わせるのをイメージさせるCMなどは褒められたものではないと言えます。

そして環境汚染という点でも今回は議論がされていますが、これに関しては、アメリカの「こいつが悪だと決まったらフルボッコで叩く」という宗教的な性質が見え隠れするのでなんともいえません。環境に悪いから人間にもきっと悪い! みたいな考えの無い短絡思考に陥るのは簡単ですが、なんかそういう誘導感があるのでなんともなんともです。

肌に安易に殺菌剤を使うべきではないというのは、手だけでなく、体全体の話で、化粧水の保存料なども肌荒れの原因になることがあるので、そういう意味では薬用セッケンさえ気をつければ…という話ではなく、身の回りの商品が急に体に合わなくなったり、普段の不調が実はいつも使っている…というのは良くある話なので、これを機会に身の回りの商品を見直してみてはいかがでしょう?

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『アリエナイ科学メルマ』
著者/くられシリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

出典元:まぐまぐニュース!