スマホ周辺機器ブランドが、なぜロボット掃除機?

スマホ用のバッテリーや充電器などを扱っている「Anker」。Googleの元社員などによって立ち上げられたこのブランドは、安い価格と高い品質をポリシーとしてスマホに向けた周辺機器を展開。テックやスマホを愛する人々の間では高い知名度と販売実績がある。

そのAnkerが打ち出した次の一手が、家電ジャンルへの参入だ。今年6月には、スティック型の掃除機、ロボット掃除機、加湿器をリリース。そして9月には家電ブランド「eufy(ユーフィ)」と、新製品を発表した。

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eufyが狙うカテゴリーは「CLEANING(掃除)」「LIGHTNING(照明)」「ENVIRONMENT ENHANCEMENT(空間環境)」の3つ。つまり、冷蔵庫や洗濯機といったいわゆる白物家電ではなく、人を中心とした家庭の暮らしをサポートするものにフューチャーした。Ankerのスマホ周辺機器が個々のための物であったのに対し、自分を中心とした空間へと一歩外側にエリアを広げた製品群。それがeufyのカバーするジャンルだ。

ブランド発表会ではロボット掃除機、LEDデスクライト、加湿器などが発表されたが、注目すべきはやはり29,800円のロボット掃除機「RoboVac 20」だろう。

格安ロボット掃除機の実力はいかに?

安価ながら優れたパフォーマンス。それが「RoboVac 20」のウリだ。

ロボット掃除機メーカーのフラッグシップモデルにあるような、位置情報を認識してマッピングするといった「SLAM」機能は搭載されていないが、7つの掃除モードを搭載し、長い稼働時間で部屋の中を縦横無尽に移動して繰り返し掃除をすることで広いスペースもカバーできる。初期設定では120分、最大で200分の連続使用が可能。

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本体前面には超音波センサーを搭載。これにより、壁・物に思い切りぶつかって傷をつけるということはない。万が一ぶつかっても、ショックを和らげるためのバンパーもあり、なるべく家具や壁を傷つけないようにといった配慮がなされている。ただしその分、部屋の隅にはゴミが残されていることもある。これはこの機種に限ったことではなく、ロボット掃除機全体の宿命・特性とも言えるものかもしれない。

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そのためロボット掃除機だけにお掃除を任せきることはできないが、毎日自分で掃除機を部屋全体にかけるといったことはしなくても良さそうだ。オーナーはたまに部屋の隅やスポット的な掃除を行なうといったレベルでいい。お掃除にかける時間を大幅に削減でき、部屋の平均的なクリーンさを維持することができる。

デザインの良かったところ

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本体はやや大きめだが、高さはわずか8cmとかなりスリム。これよりにベッドやソファの下といった場所も問題なく侵入できる。自宅のベッドルームの掃除を任せたところ、ベッドの下にも潜り込みベッドルーム8畳+ウォークインクローゼット3畳をしっかりとお掃除してくれた。

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ベッドやソファの下といった、普段掃除機を掛けない場所はどうしてもほこりも溜まりやすい。見えない部分なので、普段の生活ではあまり気にならないが、溜まったほこりはダニや病原体、カビの温床だ。風が吹き込んだり人が動くと溜まったほこりが舞うこともあるため、日常的に常にキレイにしておきたい。特に喘息やアレルギーが気になるのであれば、第一にチェックすべきところだ。

機能でイマイチなところ

超音波センサーでぶつからずに掃除できるといった性能はさすが。ただ、環境への対応力はやや懸念もある。

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本製品は15mmの厚さのモノまで乗り越えられるとしているが、床の上に敷物がある場合には要注意。バリアフリーな自宅を出て、築35年の実家に実験環境を移したところ難題が見つかった。実験した和室では畳の上にカーペットやゴザを引いていたため、サイドブラシが引っかかり上手く乗り越えることができなかったのだ。こういった畳やフローリングとカーペットといった組み合わせはあまり得意ではないようだ。

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乗り上げた際は後戻りする機能が無いため、そのままエラーで止まってしまっていた。猪突猛進タイプといったところか。こういった敷物が無い環境で使う。もしくは行ってほしくない場所は、付属のソニックウォールであらかじめガードしておくといい。

使ってみてわかったところ

動作音はかなり静かで、夜間の掃除でも隣室からのクレームを心配せずとも良さそうだ。吸引力は取り立てて強くはないが2本のサイドブラシで効率よくかき集め、吸い上げている。

 

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ゴミ捨ては簡単でダストボックスも大容量。ただフィルターに細かなゴミがびっしりと付くため、一度掃除したらティッシュで軽く拭うといい。

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日本家屋には不向き? RoboVac 20性能まとめ

他のロボット掃除機と同じく室内環境の向き不向きがある。特に敷物への乗り上げ能力に関してはかなり厳しく、フローリングや畳の上に敷物があったり、細かな部屋が段差のある敷居で繋がるといった、旧日本家屋定番のレイアウトにはどうしても不向きだ。掃除が億劫になってきた50代60代の掃除を手伝うお助けメカには、残念ながらなりえないかもしれない。

一方で、リビング・キッチン・脱衣所・和室。それぞれの部屋に段差がない最近のバリアフリー住宅には親和性が高い。部屋から部屋へとロボットは自由に部屋の中を走り回れる。西洋風なオールフローリングであればなおさらいい。本体のスリムさも相まって、今回テストしたようなベッドルームの掃除にはまさに適任だといえる。

掃除能力は、部屋の広さとトレードオフ。幾つかの掃除モードを組み合わせたランダムウォーク型なので、部屋が広くなるとどうしても掃除しきれていない場所もある。ただし、毎日稼働させることで、全体のクリーン度は確実にあがり、自分が掃除する頻度が減ったり、掃除が楽になる。平均点で勝負するタイプだ。

29,800円のロボット掃除機は業界に食い込めるのか?

現在家電業界は変遷が起こりつつある。ジャープにつづいて東芝も白物家電事業を中国の家電大手に売却することになった。苦しむ国内大手メーカーを横目で見つつ、新技術を武器に海外メーカーや新興メーカー、他業種もユーザー視点のアイデアを武器に次々に参入、勢力を増してきた。ではeufyは何を武器に?というと、残念ながら、「RoboVac 20」には他社には無い独自性はない。

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その代わりに、既存の製品にユーザーが求めている機能を軒並み搭載した。

充電ドッグへの自動充電、スケジュール、進入禁止エリア設定、リモコン操作、付属品の中には交換用のHEPA式フィルターとサイドブラシは2本付属する。さすがにSLAM機能は搭載できなかったようだが、これだけの性能・装備を持ったお掃除ロボットが29,800円で手に入るとなれば、これもまた家電業界へ切り込みを入れる要素となる。コストパフォーマンスもまた立派な武器だ。

しかもすでにAnkerブランドでAmazonという巨大な売り場を確保してある。eufyはそれを活用し、Ankerで獲得した顧客に向けて新たな提案をすればいい。「今度は、安くて生活を便利にするもの出しました、どうでしょう」と。

その提案は魅力的だ。「RoboVac 20」は活躍できる環境こそ選べど、性能と価格とのコストパフォーマンスはたしかに高い。そこに重点を置くのであれば、ロボット掃除機のエントリーモデルとして、検討してみる価値は十分にあるのではないだろうか。

文/小暮ひさのり

出典元:まぐまぐニュース!