渡米してから16年以上NYのマンハッタンに住む、会社経営者の髙橋克明さん。自身のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り−マンハッタンの最前線から−by 高橋克明』の中で、常々「アメリカかぶれと思われたくない」と発言し、日本人であることに誇りを持っているそうですが、唯一、心の底から「アメリカに住んでよかった」と思うほど苦手な日本人特有の「ある習慣」があるとか。その習慣とは、いったい何なのでしょうか?

アメリカかぶれと思われたくない僕が、心の底からアメリカに住んでいてよかったと思うひとつのこと

いきなりですが!!!

日本って、デートで「クーポン」使っちゃダメなの!?(笑)レストランで「お持ち帰り」しちゃダメなの!?(驚)

そうか、、そっか。 。 。 。 そうだった。 確かに。確かに、そんな記憶があります。 16年前、日本で生活していた頃の自分を思い出すと、さすがにそんなことはしなかった。 クーポンも使わないし、お持ち帰りもしなかった。

もちろん、今は、めちゃめちゃします!笑 クーポンも使うし、お持ち帰りもします。 ドヤ顔でします笑 (ひかないでください。 こっち、みんなしてます)

ニューヨーカーはもれなくしてます。 デートだろうが、結婚記念日だろうが、お葬式だろうが「割引券」を使って少しでもコストダウンするなら絶対、します。

たとえ、それが、記念すべき最初のデートでも、会計時、男は得意げに「ぐるぽん」を財布から出します。 で、もちろん、残ったごはんは、当たり前のように「TO GO (持ち帰らせて!)」とウエイターに注文します。

あまりにも、それが当たり前の生活を15年以上したので、先日の日本出張時前に、弊社のスタッフから「社長、お客さんとの会食でクーポン出しちゃダメですよ」と注意されました。

そこで気がつきました。 というか思い出しました。ダメなんだ、クーポン。 しちゃいけないんだ、お持ち帰り。

その場にいた、日本から来たばっかりの20代のインターンのコ達に聞くと、この社長はなにを言ってるんだろう、くらいの顔で「ありえない」と言われました。 自分の子供でもおかしくないくらいの年齢のコたちに(笑)

さすがに僕も、普段、残ったフードを「お持ち帰り」はしませんが、理由は「めんどくさいから」という理由で、恥ずかしい、だとか、カッコ悪いという理由ではありません。

むしろお店側が、まだ料理が残ったお皿を見て、当たり前のように「TO GO ? (持ってく?)」と聞いてきます。 こっちはそれが普通なので、断る際、むしろ、ちょっと申し訳ないように「NO」と言います。 なぜなら、それが普通すぎて、お店側に「不味かった」と思われていると思われていないか心配だからです。

合理的なニューヨーカーは、安くなるツールが手元にあるのに、あえて使わない、という不合理的なことはしません。 残った料理を持ち帰りたいから、持ち帰る。 それ以上でも以下でもない。 そこに「カッコいい」とか、「カッコ悪い」という価値観は存在しません。

でも、思い出せば、思い出すほど、確かに、日本だと、クーポン使うのも抵抗あったし、お店で残った料理を「お持ち帰り」するなんてことはしたことなかったなぁと思います。

たぶん、そんなズレが、帰国時に、いわゆる「海外暮らし」の空気読めないヤツってことになるんだろうなと自覚します。

とにかく「アメリカかぶれ」と思われるのが嫌でした。 自分はどんなに海外に長く住もうとも「アメリカかぶれ」にならないという自信もありました。

でも知らず知らずのうちに、日本だけの日本にしかない日本の習慣を忘れていってる。

でもね。 いいわけだけど。日本だけの暗黙のルールって多すぎないっすか、、汗。気付かないうちに、自分がそのルールを破ってないか、心配だったりします。

社員に「クーポン使っちゃダメ」という注意をされてなければ、普通の顔して使ってた。 そんなことしたら、後で陰で笑われるそうです。 うちのインターンのコ達いわく(笑)

「じゃあ、なんのためにクーポンって存在するんだよ」

ちょっと開き直って聞く僕に、「家族の外食とか、会社の飲み会とか、ひとりの時」に利用するためらしいです。 デートにしても、最初と2回目くらいはダメで、関係にもよるけれど3回目くらいは出してもいいらしいです。 だからといって友達カップルとのWデートなどの場合はやっぱりよろしくないらしいです。 でも、喧嘩した後の仲直りデートだと、つきあった年数に関係なくクーポンはダメらしいです。 でも、クーポンを使うことによって“身内感”も出るらしく、それはそれで嬉しいと感じるタイミングもあるようで、、

って、しるかばかやろうわかんねえよ、です、もう。

ただ。みんながみんな、その「暗黙のルール」を守ろうとするなら。あえて破ってみたら、目立つんじゃないかな。みんながみんな、クーポンを使う人をダサい!と思うなら、あえて使ってみたら、逆に好感度が増したりするんじゃないかな。

絶対、それはないそうです(笑) ありえない。 自分の子供くらいの年齢のコ達にやっぱり言われてしまいました(笑)

前回の出張時、新宿の歌舞伎町にホストくんたちが7〜8人ぞろぞろと歩いてました。衝撃だったのは、みーーーーーんな、その7〜8人、同じ髪型、同じ格好をしていたこと。 ( 同じ金髪。 同じ箇所にピアス。 思わず写メ撮ってしまう)

外国人が見たら絶対、新興宗教に思われちゃうよ。

ホストって人気商売なはずです。 ということは、みんなと同じ格好するのは、何一つ得ではないのではないか。 同じ方向に足並み揃えるのは損なんじゃないか。 むしろ「違う」方が目立つんじゃないか。

極端に言えば、全員が金髪で毛先遊ばせているなら、ひとりくらい丸坊主にした方がオリジナリティを出せるんじゃないか。

この意見も先のインターンくんたちに、バッサリ斬られました(笑) 社長、そーゆーことじゃないんです。 だと。

「オリジナリティは内面なんです」

そう言われた瞬間、大爆笑しちゃいました。

内面を見るのに、ホストクラブに行くのか(笑) もし内面重視なら、それこそ示し合わせたような外見こそ矛盾してる(笑)

ホストクラブの客はその内面のオリジナリティを求めに行くと本気で思ってるのか(笑)

ということは、内面重視であるなら、逆に外見は全員ユニフォームみたいに揃えなくても、やっぱりひとり違う格好をしてもいいという理屈は正しいじゃん(笑)

内面重視にしてないビジネスモデルだからこそ、人と違う外見が怖くて、一律の外見になったという結果じゃないの(笑)

内面重視であるならば、正規料金より圧倒的に高いお酒で利益を出すというビジネスモデル自体矛盾してないか(笑)

内面重視なら「今月の人気ホストランキング」は「性格のいい人ランキング」とイコールってことになるぞ(笑)

内面重視のビジネスに写真指名という制度が必要な理由を教えてくれよ(笑)

調子に乗って論破しまくってたら、そのコ達、涙目に。 。 。 w

いい歳して、まだハタチそこそこのコ達に、あらゆる方向から、すべての正論で、すべて論破して。結果、嫌われる(笑)43歳—。策士、策に溺れる。 。 。 。 。 。 www

で真面目な話—。 ここからが本題。 いちばん言いたかったことです。

結局、海外生活が長くなり、日本に、自分の母国にいちばん違和感を持つようになったのは「そこ」かもしれません。

「ホストに内面を求めるメンタリティ」。 もっと言うなら、「そんな自分」を声高にアピールするメンタル。実は「クーポン」でも、「同じ髪型のホスト軍団」でも、ない。それらは「習慣」と「文化」です。

2〜3日も東京に滞在すれば、また慣れる。でも、やっぱり、一生慣れないかもしれないのは、日本独特の「どんな状況でも、ドラマチックなところに落とし込もうとする」ところ、かもしれません。

ホストにまで「人間性」を求める。 いや、ホントは求めてない。 求めている自分を確認する。 そして差別化を測る。

誤解なきよう、決してホストの方々に人間性がないなんて言ってるわけではなくて、みなさんとてもいい人だと思います。でも、イケメンとおいしいお酒を飲む、というビジネスモデルに、人間性や、内面を強引に入れ込む習慣は、やっぱり世界的に見ても稀だと思います。

ドラマチックなセリフを日常生活でよく聞くのは日本です。 中身はともかくとして。

「アメリカかぶれ」と思われるのが極端に嫌いな僕が、「アメリカ」に住んで良かったと心の底から思うのは、グーがチョキに勝って、チョキはパーに勝って、グーはパーに負けるという単純なルールがちゃんと成立してるからです。

国民全体がインテリのパーセンテージの高い日本は、そんな不文律も複雑にしがちです。

高校野球でも勝ったチームより、負けたチームにスポットライトが当たることがある。

ひきこもりのコに対して、親が、学校が、社会が、ひいては国にまで責任が及ぶ。

ひきこもりならまだしも、犯罪者に対しての責任まで、複雑に討論して、ヘタすると加害者を被害者にまでする「理屈」が生まれる。

もし、グーを出して、パーに負けたら、負けだ。 それ以上の理屈はない。だから、次は勝てるように努力する。

でも、「どうして彼はグーを出したのでしょう。 核家族化の社会現象が、彼にグーを出さざるを得ない性格にしてしまったということは考えられないでしょうか、、、」と、したり顔で評論する。

深すぎるぜ(笑)

グーを出して、負けた張本人まで、「勝負には負けたかもしれない、、、でも、僕は握った拳をほどくことは、どうしても性格上出来なかった。 それで負けたら、それはそれで仕方ないと、天国のお母さんも笑ってくれるだろうから」と涙目で語る。

カッコよすぎるぜ(笑)

でも、僕は知ってる。 もし先方がパーを出すと知ってたなら、間違いなくチョキを出してたことを(笑) 握った拳を簡単に開いたことを。

社長業をして15年—。 かつてたったひとりだけ解雇をした社員がいます。僕は基本的にクビを切らない。 引き止めることも滅多にないけど、解雇することもありません。でもたったひとりだけいました。

営業の20代の男の子でした。

彼は確かに成績が悪かった。 でも、成績が悪い社員は他にもいます。 それが解雇の理由には僕にとってはならない。

会社に病気と嘘をついて、彼女とフロリダ旅行に行ったことが判明しても(笑) クビにはしませんでした。

それでも、彼が過去唯一の解雇者になったのは、「成績の上がらない理由をドラマチックにかっこ良く」言ったからでした。

営業数字が取れない彼は、「僕は真っすぐな男で、客に合わせて、へらへら自分を変えれないんっすよ」と言った。 目の奥は酔ってた。 気持ちよく言った。

僕の性格を知り尽くしている、他の古くからの社員メンバーは、「あ〜あ、言っちゃったよ」って空気になりました。絶対、ダメだからです。 僕が絶対その類を許せないことを知ってるからです。

実は彼自身も、客に合わせて一所懸命機嫌とってたのを知っていた僕は、負けた理由を「ドラマチック」な理屈で、自己正当化されることだけはどうしても許せませんでした。

「おまえも、客の機嫌とってたぢゃん♪ ただ単に出来なかっただけで ハート」

数字が悪かったことは、どうでもいい。 どうでもよくないけど、また頑張ればいい。でも、負けた理由をかっこ良く言えるってことは、勝ちも負けも価値に大差がない。勝つ為に必死になっている人間(他の社員)の努力まで否定しているように聞こえちゃったのです。それだけは許せない。

負けた理由をかっこ良く自己正当化できるなら、彼は次も負ける。 なんなら、勝つことよりすでに価値を見いだしちゃったかもしれない。 さっきの気持ちよさそな目を見ると。

勝ちよりも、負けの方が、理屈ひとつでカッコよくなるなら。もうなにがなんだかわからなくなる。

成績いい人間は「真っすぐな人間じゃなくて、客に合わせて、へらへら自分を変えた」人間と言ってることになる。 「そうは言ってません」という理屈は絶対通らない。

グーはパーに負けます。 次、勝てばいい。 グーを出した自己正当化のカッコいい理屈は聞きたくない。 (だって、だいたいが、その理屈、後付けの嘘だし。 同時に勝った人間を貶めてるし)

彼が成績よければ、そんな理屈は生まれてこなかった。

ホストに内面を求めることも、高校野球で負けた理由を探すのも、後付けだというと怒られるでしょうか。

イケメンと楽しくお酒飲みました♪ 明日から頑張ろう!じゃダメなのか。

今回は負けたけど、次は絶対勝ってみせる! じゃいけないのでしょうか。

あらゆるものに価値を(強引に)見いだそうとする、複雑すぎる社会にうんざりする僕は、たぶん、もう「アメリカ帰りの嫌なヤツ」なんだと思います。

でも、同時に、そこだけは、自分の息子にちゃんと伝えたいことでもあるのです。

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『NEW YORK 摩天楼便り−マンハッタンの最前線から−by 高橋克明』 より一部抜粋

著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる

 

出典元:まぐまぐニュース!