【ワシントン清水憲司】米連邦準備制度理事会(FRB)は21日、6回連続となる追加利上げの見送りを決める一方、年内の利上げを強く示唆した。しかし、金融政策運営を決める連邦公開市場委員会(FOMC)委員らが2017年中に妥当と見込む利上げ回数はむしろ減少し、利上げペースを加速する気配はない。物価上昇(インフレ)率が目標の2%に届かない中、FRB内には年内利上げに慎重意見もあり、イエレン議長は難しいかじ取りを迫られている。

 「現状の通り雇用市場が改善し、新たに大きなリスクが生じなければ、年内の利上げが妥当となるだろう」。イエレン氏はFOMC後の記者会見で「米経済が現状通りにとどまる」ことが追加利上げの条件との考えを示した。今後の経済指標が特に強い内容でなくても、不測の事態がなければ年内に利上げすると表明した格好だ。

 大統領選の投票日直前となる11月1〜2日の次回会合での追加利上げは難しいとみられているものの、シカゴ・マーカンタイル取引所によると、市場は次々回の12月13〜14日の会合で実施される確率を5割程度と見込み、FRBによる地ならしは今のところ成功している。

 ただ、その後、FRBが利上げを急ぐ可能性は高くない。年内に利上げを1回実施した場合、委員らが見込む17年中の利上げ回数は「2回」にとどまり、17年末時点の政策金利は従来見通し(今年6月時点)より利上げ1回(0.25ポイント)分低い水準を見込む。利上げペースが一段と緩やかになると見て、21日のニューヨーク外国為替市場では円高・ドル安が進んだ。

 一方、FRB内では利上げ積極派と慎重派の意見の隔たりが広がっている模様だ。今回の会合では、投票権のある委員10人のうち積極派3人が利上げ見送りに反対票を投じ、14年2月就任のイエレン氏の下では最多を記録。昨年12月の利上げ以降、追加利上げ見送りを重ねてきたことに、積極派が焦りを強めていることを浮き彫りにした。

 イエレン氏は「利上げを長く待ちすぎれば、景気が過熱するリスクがある」として積極派に理解を示す半面、インフレ率が十分に高まるまで利上げを急ぐべきではないとの慎重派の主張に沿う形で「日本が直面するようにインフレ率が目標を慢性的に下回る状況には陥りたくない」とも述べ、両派のバランスを取りながらかじ取りする難しさをのぞかせた。