1カ月ぶりでにぎわいが戻ってきた−−。13日に動物園エリアの営業を再開した東山動植物園(名古屋市千種区)には開園前から多くの親子連れらが詰め掛け、ゴリラやゾウ、キリンなどの人気動物を見て歓声を上げた。あちこちでスマートフォンで園内を撮影する姿が見られた一方、鳥インフルエンザの影響で一部の鳥類が見学できないことを残念がる声も漏れた。

 イケメンゴリラとして人気の「シャバーニ」は開園直後の午前9時20分、ゴリラ舎の外側に姿を現した。餌を食べたり、ロープを伝ってデッキに上がったりすると、来園者から「わー」と大きな歓声が上がった。月に数回、シャバーニの撮影に来るという岐阜県土岐市の主婦、高橋啓子さん(69)は「休園中はとても寂しかった。シャバーニは久しぶりに人の姿を見て、少し驚いているみたい」と話し、一眼レフカメラのシャッターを切っていた。

 祖父母と来園した名古屋市中川区の市川翔埜ちゃん(3)はゾウのかぶりものをして見学。動物園が再開するとのニュースを見て、家族に何度も「動物園に行きたい」とせがんだという。祖父(64)は「孫の喜ぶ姿を見たくて連れてきました」と笑顔で話した。

 飼育中に鳥インフルエンザで死んだ鳥は、殺処分も含めて10羽。園内では、鳥と触れ合える「バードホール」など2カ所は引き続き閉鎖する。園内の池から仮獣舎などに移したベニイロフラミンゴなどは隔離したままだ。同市千種区のパート、亀山一恵さん(51)は慰霊の花束を持ち、死んだコクチョウが飼育されていた胡蝶池で手を合わせた。「ずっと心を痛めていた。鳥と触れ合えないのは悲しいけれど、仕方ない」と話した。

 ペンギン舎は野鳥対策の防鳥ネットで全体を覆われている。三重県四日市市の大学生、大野美緒さん(20)は「網越しでしか見られないのは少し残念です」と語った。

 ただ、多くの来園者を見て、黒辺雅実動物園長は思わず涙を流したという。「鳥インフルエンザ対策はまだ道半ば。自然に近い状態で、どうやって鳥類を展示していくのかも今後の課題だ」と気を引き締めていた。【三上剛輝、長谷部光子】