農業に従事する不法就労の外国人が急増していることが法務省のまとめで分かった。2012年に592人だったのが、15年には1744人と3倍になり、職種別で初めて最多になった。16年も上半期だけで1070人の不法就労が確認されており、入国管理局は取り締まりを強化している。

 法務省によると、16年上半期に入管法違反で退去強制手続きをとった外国人は6924人(前年同期比1161人増)。このうち不法就労が確認されたのは4711人おり、約22%に当たる1070人が農業に従事していた。

 12年の不法就労者の就労内容は、工員が最も多く、農業従事者は全体の6・6%だった。農業従事者はここ数年で急増傾向にあり、15年は全体の21・9%を占める1744人と、建設作業者(1638人)、工員(1342人)を抜いて最多となった。

 都道府県別で不法就労の増加が目立つのは茨城、千葉両県。法務省が統計を取り始めた1991年から東京都が最多だったが、15年に両県が抜いた。16年上半期も茨城が1037人、千葉が764人、東京が660人−−の順だった。不法就労者の国籍別では中国がトップで、ベトナム、タイ、フィリピンと続く。

 背景には、政府がアジア各国に対しビザの発給要件を緩和していることのほか、国内の農業の人手不足があるとみられる。法務省幹部は「茨城や千葉に集まるのは東京からのアクセスの良さが理由だろう。不法残留者同士が情報交換をして待遇の良い就労先に集まっている。農家側にとっては外国人は繁忙期に限って雇用できるメリットがある。需要と供給が一致しているようだ」と話している。【鈴木一生】