全国のマンホールのふたの写真をあしらった「マンホールカード」が人気だ。下水道のPRを目的に昨年4月から3回にわたって発行したところ、増刷するほどの反響を呼んでいる。4月には、全都道府県を網羅するとともに、収納・分類に便利な専用アルバムも導入する予定で、関係者の鼻息は荒い。

 カードは縦88ミリ、横63ミリ。表にマンホールの写真、裏にはデザインの由来が書かれ、各自治体の下水道関連施設や観光案内所などで無料配布している。国や自治体、企業などで作るPR組織「下水道広報プラットホーム」(GKP、東京都千代田区)が、下水道の「くさくて汚く、見えにくい」イメージを克服し、その重要性を理解してもらうために導入した。これまでに41都道府県・109自治体の120種類を発行している。

 名所などがカラーで描かれたマンホールは海外から注目される「クールジャパン」アイテムとも言われる。GKP企画運営委員でカード部門リーダーの山田秀人さん(41)は、「日本のマンホールは世界に誇れる文化物。まずはデザインを楽しんでもらい、その先にある下水道とは?と思ってくれれば」と話す。

 カードはマンホールファンの間で人気を集め、昨年4月発行の第1弾、同8月発行の第2弾ともに3万枚ずつ増刷した。コレクターの一人で長崎大学技術職員の出水享さん(37)は、「カードはそのマンホールを訪れた証しになる。デザインの由来や地域のこともよく分かる」と話す。地元以外のカードは、出張時に仕事の合間を縫って手に入れているという。

 山田さんは大手玩具チェーン勤務の経験があり、「集めたい」と思わせるこだわりと仕掛けも用意した。その一つが、収集欲をかきたてる「統一感」だ。

 大きさや紙質はもちろん、写真の大きさ、文字のフォント、テーマや文体は必ずそろえる。自治体側は「裏面に観光案内を入れたい」などと要望してくるが、必ず守るようにしている。主役はあくまでもマンホールであり、カードのコンセプトが散漫になっては元も子もないからだ。

 自分なりに全種をそろえる「コンプリート」ができる工夫も。カードは地元の施設で手渡しするのがルールのため、北海道から沖縄まで全てそろえるのはかなり厳しい。そのため、全国を9ブロックに分けてカードも色分けし、ブロック単位のコンプリートを目指す楽しみを提案している。

 さらにこだわったのが「発見の喜び」。絵文字の下と右隅に小さく書かれた数字に、ある法則性が仕掛けてあるのだという。「複数枚集めて分かった人がいるかもしれない。それが分かれば、もっと集めたくなるはず」(山田さん)

 発行をいつまで続けるか聞いたところ、山田さんはこんな例を挙げた。同じデザインでも別の場所にあるマンホールを、緯度経度を明記して別の種類のカードとして発行するケースで、香川県流域下水道のカードで導入済みだ。「日本にあるマンホールの数は約1400万枚。全てのマンホールカードを発行することも可能ですよ」(山田さん)。勢いはしばらく続きそうだ。【増田博樹】