天皇陛下の退位に関連し、政府は欧州、中東、アジアの計11カ国の君主の退位制度も参考にし、日本での法制度の検討を進めている。退位に関する有識者会議が23日に公表する予定の「論点整理」にも反映される見通しだ。退位によって積極的に世代交代を進めている国もあり、他国の状況を示すことで、83歳の天皇陛下の退位実現の環境を整える狙いだ。【田中裕之】

 ◇英・スペインは特別法

 対象は英国、オランダ、カタール、クウェート、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ノルウェー、ブータン、ベルギー、ヨルダン。内閣官房が資料をまとめ、有識者会議にも提示している。

 11カ国のうち一代限りの特別立法で退位が行われた国は英国とスペイン。英国は1936年に42歳だったエドワード8世が、離婚歴のある米国人女性との結婚を政府などに反対されたため退位し、その際に特別法を制定した。スペインは、当時76歳のフアン・カルロス1世が2014年に高齢を理由に退位した際、憲法に特別法の根拠を規定。特別法には「国王が高齢で皇太子の王位継承の準備ができている」などの退位要件が明記された。

 憲法や一般法の恒久的な規定に基づく退位があったのは、オランダ、ヨルダン、クウェートの3カ国。オランダでは憲法に明確な退位要件を設けず、「国王が退位した場合」に王位継承が行われると記している。ベアトリックス女王が2013年に75歳で退位した際は、皇太子夫妻が将来の職務の準備ができている点を強調したうえで、「職務が重すぎるのではなく、新たな世代に委ねたい」と退位の理由を説明した。有識者会議のメンバーは「海外の事例で共通しているのは、円滑な王位継承のため、次代の準備ができていることを宣言している点だ」と指摘している。

 憲法や法律に基づかずに退位した国がベルギー、カタール、ブータン。制度上退位は認められているが事例がない国はスウェーデン、デンマーク、ノルウェーだった。

 有識者会議の論点整理では、陛下の退位を実現する方法として(1)特別立法(2)皇室典範に根拠規定を設けた特別立法(3)典範改正による退位の制度化−−の3案を例示する見通し。典範改正は議論に時間がかかるとして、(1)か(2)の対応が望ましいとの考えを示す方針だ。特に(2)はスペインの例を参考にしているとみられる。