◇大相撲初場所6日目(13日)

 横綱の執念がにじみ出ていた。傷だらけの体で持ち味を貫いた日馬富士は「土俵に上がった以上、命がけで取るだけ」と、日ごろのせりふを繰り返した。

 立ち合い、痛む右足で踏み込み、流れをつかんだ。頭をつけて左を差すと、玉鷲が小手に振る間に右もねじ込む。相手の強烈な突き落としにバランスを崩しながら左足一本でこらえ、あおむけに土俵に落ちながらも体を預けて寄り倒した。

 前日の取組で右太もも裏を負傷した。この日は朝稽古(げいこ)を休んで病院に行き、肉離れと診断された。痛み止めを打った患部には、大きなサポーターが巻かれていた。「あまり痛々しく書かないでください」と苦笑いしたが、立ち合いの踏み込みは「勇気がいったのでは」と問われると「その通りです」と振り返った。

 2日目、3日目に金星を配給したものの、先場所は初日に苦杯を喫した新関脇に意地を見せつけた。

 「力士はみんな、それぞれが痛みを抱えながら自身の責任を果たそうとしている」と日馬富士は言う。番付最高位の横綱であれば、なおさらだ。肘、足首などにも古傷を抱え、満身創痍(そうい)の土俵が続くが「何よりの治療になる」という大歓声を浴び、闘志を新たにした。【野村和史】