第89回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)は第3日の21日、予定されていた1回戦3試合が雨のため2014年の大会第6日以来の順延となった。22日第1試合に仕切り直しとなった創志学園(岡山)−福岡大大濠の両校はこの日午前8時から、甲子園球場の室内練習場でそれぞれ1時間半汗を流した。

 両校のエース右腕には、ともにプロ入りした1学年上の先輩がいる。創志学園の難波侑平(3年)は巨人の高田萌生(18)、福岡大大濠の三浦銀二(3年)は阪神の浜地真澄(18)。2人はそれぞれの先輩が高校時代に授けてくれた教えを生かして成長を遂げてきた。

 創志学園の難波はこの日、約50球の投球練習。直球を多めにスライダー、スプリット、ツーシーム、ナックルカーブなど「自分が持つ球種12種類を全部投げた」とし、「変化球がコースに決まり、調子は上がってきた」と話した。

 多彩な変化球に「手先が器用なので、キャッチボールで新球種を覚える」と明かすが、縦のスライダーは昨冬に高田から教わった。高田がランニングに短距離走も取り入れているのを見て、自分も導入した。「マウンドではみんなに声を掛けろ」というアドバイスも受け、実践するように心掛けてきた。同じ右腕の先輩は身近なお手本だった。

 昨年の春夏の甲子園では左翼手で出場し、夏は救援登板もした。勝利は春の1回戦だけ。最速154キロの高田が打たれる姿を見て「球が浮くと打たれる」と改めて気づいた。「先輩たちの1勝を超えたい」。長沢監督も難波に「投球の組み立てなどは高田より上だし、実戦向き」と期待している。

 一方、中学の時から福岡では有名だった浜地に憧れ、同じ高校に進んだ福岡大大濠の三浦。浜地は甲子園出場は無いものの140キロ後半の直球を投げ込む本格右腕で、制球力が持ち味の三浦とはタイプが違うが、参考にしたのは相手打者への「観察眼」だ。

 打席内での打者の立ち位置やバットの持ち方を観察し、投球に生かす。例えばピンチの場面。打者にとっては好機で打ち気にはやる相手の表情など見て、わざとボールを長く持ってじらしたり、遅いボールを使ったりしてかわした。「ピンチでも後ろを見たら落ち着くと教わった」と三浦。冷静なマウンドさばきで、秋の公式戦は13試合で6完封を果たした。

 この日はブルペンで約30球、全球種を投げて調整した。浜地より先に甲子園のマウンドに立つこととなった三浦は「勝ちにつながる投球をして、浜地さんに勝利を報告したい」と誓った。【来住哲司、生野貴紀】