【ワシントン会川晴之】トランプ次期米大統領から国防長官に指名され、12日の上院軍事委員会の承認公聴会に臨んだマティス元米中央軍司令官は、過激派組織「イスラム国」(IS)などとのテロとの戦いや、シリア、イラク、イラン政策など新政権が直面する中東政策の課題について証言した。

 ◇イラクは米軍駐留

 「ISの(イラクでの拠点とする北部の)モスル敗退の後、あらゆる努力を結集し中東の地域戦略を組み立てることが不可欠だ」。マティス氏は、米国を中心とする有志国連合が有利な戦いを進めるモスル攻防戦の勝利後も、イラクに米軍を残留させることが重要と指摘した。

 イラクとアフガニスタンからの早期撤退を公約に掲げたオバマ政権は2011年にイラクからの米軍撤退を実現させた。だが、その間隙(かんげき)を突くようにISが台頭した。シリアではロシアとイランがアサド政権を軍事支援。反政府派の拠点だった北部アレッポは昨年12月に陥落し、米国の存在感低下が鮮明になった。

 マティス氏は「シリア内戦は中東を不安定にするだけでなく、(難民流出という形で)欧州を不安定化し、(米国の)同盟国であるイスラエル、トルコを脅かしている」と述べ、オバマ政権の認識不足が、米国や同盟国を危険にさらしたとの認識を示した。

 そのマティス氏が、IS打倒後の最重要課題に据えるのがイランだ。オバマ米大統領が「政治的遺産(レガシー)」と位置づける15年の核合意は維持が望ましいとの考えを示したものの、イランを「中東を不安定化させている最大の要因」と指弾し「イランの野望を潰すための戦略構築」を課題に挙げた。

 イスラム教シーア派を国教とするイランは、シリアだけでなくシーア派が政権を主導するイラクや、米国がテロ組織に指定するレバノンのシーア派組織ヒズボラに強い影響力を持つ。

 この状態を放置すれば、スンニ派の盟主を自称するサウジアラビアなどとの対立が激化し、中東の不安定化が拡大する可能性があるとの懸念が背景にある。