◇神輿に神像、練り歩き

 太平洋戦争中に台湾南部・台南市で戦死し、現地で神としてまつられている水戸市出身の旧日本海軍兵曹長、杉浦茂峰(しげみね)氏の神像が、初めて「里帰り」した。杉浦氏を「飛虎(ひこ)将軍」として廟(びょう)にまつる現地の管理委員会メンバーが、神像を持って来日。22日に水戸市の関係者らとともにみこしを担いで市内を練り歩き、両市民の友好を誓った。【松本尚也】

 水戸市などによると、杉浦氏は旧海軍の零戦パイロット。1923年11月水戸市で生まれ、太平洋戦争末期の44年10月、台南で米軍との交戦中に撃墜され、20歳で戦死した。その際、集落への墜落を避けようと機体からの脱出を遅らせ、郊外まで飛行した、と伝わる。

 現地の住民らは「集落を戦火から救うため、自分の命を犠牲にした飛行士」と感謝し、戦闘機を意味する「飛虎」にちなみ「飛虎将軍」と呼んであがめた。71年に廟を建設し、その後、木製の神像(全長約30センチ)を製作。観光ガイドブックにも取り上げられ、日本から訪れる人も多いという。

 「里帰り」のきっかけを作ったのは、元国会議員秘書で水戸市内ではんこ屋を営む藤田和久さん(64)。4年前に偶然、インターネットで飛虎将軍の存在を知り、「水戸の人たちにも知ってもらいたい」と市に交流を働きかけた。

 今年2月、高橋靖市長の現地訪問が実現。市は杉浦氏の功績を市民に周知しようと、生家跡地の県信用組合農林水産部ビル(同市五軒町2)に同氏を紹介するパネルを今月15日に設置した。

 管理委員会のメンバーら約25人は21日来日し、22日は水戸市の県護国神社で慰霊祭を開催。「水戸神輿(みこし)連合会」のメンバーらと市内を練り歩いたり、杉浦氏の生家跡を見学したりした。委員会の呉進池(うじんち)会長は「飛虎将軍も里帰りしたかったと思うので感動している。今後も水戸市と台南市の交流を続けていきたい」と話した。一行は23日、神像とともに杉浦氏の母校である三の丸小と五軒小を訪問する。