群馬大理工学部の小木津武樹(おぎつたけき)助教らの研究グループは、ドライバーが運転操作しなくても走行できる「自動運転車」を公道で走らせる実証実験を10月から桐生市内で始める。県内の公道での実証実験は初めて。小木津助教は「特定のルートであれば、運転者不在の完全自動運転は技術的に可能」としており、実現すれば公共交通機関などへの応用が期待される。自動運転のレベルを上げながら、県内の別の場所での走行も進めていく方針。【尾崎修二】

 使用する公道は、群馬大理工学部がある桐生キャンパスを囲む県道と市道の1周約1700メートルのコース。実験は10月15日から始まり、2021年3月31日まで不定期に実施する。

 走行するのはトヨタのプリウスの改造車で、カメラ、赤外線レーザー、全地球測位システム(GPS)などを搭載し、各機器が走行中に得たデータを蓄積していく。10月は小木津助教本人がほぼ毎日ハンドルを握って走りながらデータを集め、11月からはアクセルやハンドル、ブレーキのいずれかの操作を自動運転にするなど段階的に「自動」のレベルを上げていく。

 小木津助教は「特定の限られた地域内であれば、極めて高い信頼性で完全運転を実現できる技術がある」と話す。街路樹や縁石など地図にはない路上のデータを詳しく収集することで、ルートが固定された公共交通機関としての実用化を視野に入れている。

 安全面に関しては、警察庁が5月に作成した自動運転の公道実験に関するガイドラインを順守する。運転手は当面、システムを熟知した小木津助教自身が務め、ハンドルに手を添えて運転し、いつでも手動操作が可能な状態にする。

 小木津助教は東京理科大などで自動運転の研究に携わり、今年2月に群馬大に赴任した。仙台市の国家戦略特区での実証実験にも参加した。元々、群馬大理工学部は、低速電動コミュニティバス(EVバス)「MAYU」などの開発の際に、公道での運転の実績があり、今回の自動運転も市側の了解を得られたという。市は9月下旬に周辺住民に回覧板で周知する。

 国の基準では、自動運転に関しては、無人の「完全自動運転」(レベル4)から、操作が原則自動で必要時に運転者が担う「準自動運転」(レベル3)▽制御や加速、ハンドル操作のうち複数が自動の「準自動運転」(レベル2)▽制御など一部機能が自動の「安全運転支援」(レベル1)−−の4段階に分類される。

 小木津助教は、少なくとも1年間は「レベル2」での走行を続け、可能な範囲でレベルを上げていく方針。公道でのレベル4の実施には、日本が批准する「道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)」の改正が必要というのが国の見解だが、改正のめどは立っておらず、現行ではできない。