リオデジャネイロ・パラリンピックの閉会式で行われた次期開催都市・東京への引き継ぎセレモニーで華麗なダンスを披露した下呂市萩原町出身の義足のプロダンサー、大前光市さん(36)が22日、地元に凱旋(がいせん)し、下呂交流会館(同市森)で開かれた福祉イベントでトーク&ライブを行った。

 イベントは市社会福祉協議会などが主催した「福祉ふれあいフェスタwithハートビート下呂」。大前さんは、運営に関わっていた同級生から5月ごろにオファーを受け、「自分のダンスを見てもらうことで、この地域から一人でも多く自分のようにチャレンジする人が出てくれれば」と快諾した。

 高校卒業まで地元で過ごした大前さん。トークショーでは「中学時代、卒業生を送る会で主役を務めた演劇がきっかけで舞台に興味を持った。当時いじめを受けていたが、それからいじめもなくなった」と目標を持つことの大切さを訴えた。

 ダンスを始めたのは益田高校(現益田清風高校)時代。アルバイトしながら高山市にレッスンに通った。進学した大阪芸術大でバレエに本格的に取り組み、ソロや振り付け作品の創作に打ち込んだ。大学を卒業し、プロのバレエダンサーを目指していた23歳の時、飲酒運転の車にはねられ左足の膝から下を失った。ダンサーとしての仕事を全て失い、仲間からも相手にされなくなった。絶望と挫折の中、「下呂で自分が頑張っていた当時のことを思い出した。たくさんの人たちの支えがあった」と故郷が再起への支えになったことを明かした。

 現在は「かかしのダンサー」として、ハンディキャップを生かした独自の創作ダンスのステージに立ち、小・中学校での講演活動もしている。リオでのダンスパフォーマンスについて「練習以上の出来だった。金メダルに値すると思う。障害を持っている人でも、これだけのことができるんだと、可能性を自分のダンスで伝えることができた」と振り返り、「(2020年)東京大会でもチャンスがあれば出場したい」と力強く語った。

 トークショーの後は特設ステージで独創的なダンスパフォーマンスを披露し、観客から大きな拍手を浴びた。【石塚誠】