古武道「宝蔵院流槍術(そうじゅつ)」(本部・奈良市)は上牧町の山林で樫(かし)を育てる植樹事業に乗り出す。長さ最大3・6メートルの稽古(けいこ)に使う槍(やり)の用材が不足しているためで、第21世宗家の一箭(いちや)順三さん(67)=同市=は「木が育つには年月が必要だが、約460年続く武道を50年計画で守りたい」と話している。【皆木成実】

 宝蔵院流は戦国時代、興福寺(奈良市)の子院・宝蔵院の僧胤栄(いんえい)が創始したとされる。奈良のほか、大阪、名古屋、ドイツに道場があり、約110人が学ぶ。

 稽古や演武には、いずれも樫製で先が十文字形になった鎌槍(長さ2・7メートル)と素槍(3・6メートル)を使う。いずれも特注品で、長く節のない樫の原木が必要。宝蔵院流は現在、愛知県の製材業者を通じて直接確保しているが、数年後には調達が難しくなることが予想されるという。また外国産の樫はしならないため、槍には向いていないという。

 同事業には県森林技術センターも協力。宝蔵院流が近く一般社団法人を設立して上牧町の林野約2500平方メートルを買収し、今年12月にまず50本を植林する。数年で400本程度に増やし、一箭さんの弟子らが下草刈りなどの手入れを行う。樫は30〜50年で直径30〜40センチに育ち、1本で槍4、5本分の用材となる。

 宝蔵院流では、植林に伴う費用200万円の募金(10月末まで、個人1口5000円)を募っている。詳細はホームページにも掲載。問い合わせは一箭さん(0742・44・9124)。