文化庁が、熊本地震を受けた歴史的建造物1684件を調査したところ、25%にあたる433件が修復に専門家の助言が必要な被害を受けたことが分かった。調査対象は国指定重要文化財以外の歴史的建造物で、全体の被害額は約160億円と試算している。重文以外の建物は公的助成がないものが多く、地域に重要な建物が被災後に解体された例もあり、文化財に詳しい大学教授らは「復興基金を個人所有の未指定や国の補助がない建物に適用するなどの支援が早急に必要」と話している。

 文化庁の「文化財ドクター事業」などの一環で日本建築士連合会などが調査し、22日の報告会で発表した。同事業は被災した文化財の応急処置や復旧に建築士らの専門家が所有者に助言する。熊本城の重文は国が90%、特別史跡の石垣は75%が国の補助対象だが、重文以外の国登録有形文化財は設計費補助にとどまり、県市町村指定に国の補助はないという。

 2004年の新潟県中越地震では復興基金を用いた修復費の助成制度が設けられた。建築士連合会などでつくる熊本地震被災文化財建造物復旧支援委員会の伊東龍一・熊本大大学院教授(日本建築史)は「自治体指定の文化財以外にも素晴らしい未指定の文化財は多く、支援がなければ解体が進む」と話す。

 また、同委員会は22日、町屋が多く残る熊本市中央区の新町、古町地区で被災文化財の見学会も開催。建築士などの参加者は1914年ごろに完成した木造洋館などを見学した。門柱が倒れ、壁が剥がれるなどの被害を受けて修復のめどは立っていない。熊本大大学院の伊藤重剛教授(西洋建築史)は「熊本城だけでなく、地域の文化を担う町並みや文化財も裾野を広く保護していく必要がある」と話した。【柿崎誠】