◇感情、心理状態予測も

 リオデジャネイロ五輪・パラリンピックが終わり、2020年東京大会に向けた準備が本格化している。4年後の大会本番を見据え、最先端技術を生かした警備の現状を探るシリーズの第3回は、ロボットの活用を紹介する。警備大手・綜合警備保障が警備用ロボットの開発に着手したのは1982年。改良に改良を重ね現在、警備の最前線に投入されている最新ロボットはさまざまな機能を持っている。【岸達也】

 東京都港区の本社ビルで綜合警備保障商品サービス企画部の関谷俊一課長代理(40)が、最新ロボット「Reborg−X」(リボーグエックス)の実機を前に説明してくれた。「弊社10台目の警備ロボットで、顧客のニーズに合わせ、さまざまな能力を付加できるのが特徴です」

 高さ約140センチ、幅・奥行き70センチ、重さ約140キロ。2015年4月からサービスの提供を開始し、既に国内の大手ショッピングモールなどでも活躍しているという。実力は折り紙付きなのだという。

 導入する施設の地図をあらかじめ記憶させると、内蔵されたカメラやセンサーを駆使して、自動で走行して定期巡回することが可能。設定エリア内で登録されていない人を見つけ出し不審者として関係先に通報したり、ロボットの前面に取り付けられた受話器で施設のスタッフや警備員と通話したりできる。

 ロボットの前面には液晶タッチパネルもついている。このパネルや搭載されたマイク、スピーカーを使えば、自動翻訳機能を駆使して多言語で客を案内できる。関谷さんは「日中は玄関に置いて来客の出迎えに、夜間は人けのない施設の巡回警備にと24時間使える」と語る。

 東京五輪のような大規模イベントは要人の往来が増え、競技会場以外にも空港やターミナル駅などで警備レベルが一斉に上がる。民間の警備会社にかかる負荷も大きく、限りある警備員の人的資源を考えれば、警備ロボットの需要は高まるとみられる。

 綜合警備保障は現在、この最新ロボットにロシアで開発された特殊なソフトウエアを搭載する実験を進めている。対象人物を動画撮影するとストレスや恐怖、攻撃性を数値化し、危険性が高ければ警報を鳴らすシステム。緊張状況にある人が無意識に発する振動などを覚知し、感情や心理状態などを予測するとされる。ロシアの空港などで既に導入されているという。

 同社が社員らを対象に精度をテストしたところ、時間に遅れそうで焦っていたり、徹夜明けで疲れていたりした人を判定できた。今年請け負った大規模警備現場で、固定式カメラとリンクさせてこのソフトウエアを利用した。

 関谷さんは「ソフトウエアがはじき出した『危険性の高い人物』はあくまで目安。対象者の所持品検査を丁寧にすることなどで、混雑を避けつつ効率のいい警備が行えると考えている」と説明する。

 警備ロボットが広い五輪会場を勝手に巡回し、カメラで無作為に捉えた画像から特殊なソフトウエアで不審者を見つけ出す。そんな光景が20年にはあるのかもしれない。

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