定住外国人の増加や高齢化に伴い、県内で医療通訳のニーズが高まっている。しかし、ボランティアに頼る県の現行制度では、通訳のなり手が少なく、緊急事態に対応できないなどの課題が浮上している。制度の充実を目指し、市民団体「群馬の医療と言語・文化を考える会」(前橋市三俣町)は14日にJR高崎駅前で募金活動をする。【杉直樹】

 県が実施する医療通訳制度は、養成講座を受講して登録されたボランティアの通訳を、県と協定を結んだ病院に派遣する。制度開始の2006年度から昨年度までに639件の治療に対応した。

 しかし、派遣先が協定病院に限られ、派遣時間も県職員が対応できる平日の日中で、夜間は受け付けていない。一方、通訳が受け取るのは利用者や医療機関が支払う交通費2000円のみ。

 県内の定住外国人は4万人以上。20年の東京五輪を契機に外国人観光客の増加が予想される。通訳制度の設計に関わった元県職員の山口和美・考える会副代表理事は「利用者のニーズに対して通訳が圧倒的に不足。通訳の熱意だけに頼っていては持たない」と制度の限界を指摘する。

 そこで、考える会は昨年4月、独自に、夜間や土日も可能な限り通訳を派遣し、通訳には派遣時間や交通距離に応じた料金を支払う制度を始めた。通訳の交通費も考える会が社会福祉法人などからの助成金で負担する。これまでに約50人の通訳が登録し、130件以上の治療で派遣した。

 課題は運営資金の確保だ。考える会は、将来的には、医療機関からの寄付や自治体の補助金なども視野に関係機関へ働きかける予定だが、当面は助成金や募金に頼らざるを得ないという。

 募金は14日午後1時〜3時まで、JR高崎駅東口のペデストリアンデッキで、県共同募金会の複数の事業関係者と共同で実施する。原美雪代表理事は「使用言語に関係なく安心して医療を受けられる社会の実現のため、現行の制度のあり方を見直してもらうきっかけになれば」と話している。問い合わせは県共同募金会(027・255・6596)へ。

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 ■ことば

 ◇医療通訳

 国家資格はなく、報酬や運用方法に関する国の統一的基準はない。病院が独自に採用したり、自治体、市民団体などがボランティアを派遣したりして対応している。通訳の質確保や医療過誤への対応といった課題が指摘されている。国際臨床医学会が厚生労働省などと連携し、医療通訳の育成・運用などについて研究を進めている。