インターネット上で街にある災害の記念碑を紹介しながら、防災の情報を伝えるホームページ「モバイル災害遺構」の試作品を長崎大工学部の2年生3人が開発した。3人のうち、大原将和さん(19)ら2人は熊本県出身で、昨年4月に熊本地震が起き、大原さんの実家も被害を受けたことが開発のきっかけになった。大原さんは「この開発をいつか熊本でも生かしたい」と話す。【今手麻衣】

 開発したのは大原さんと請田(うけだ)郁哉さん(20)、甲斐彗(さとし)さん(20)。試作したホームページでは、1982年に299人の死者・行方不明者を出した長崎大水害を取り上げた。長崎市浜町にある長崎大水害記念塔について、水害から2年後の84年5月に設置され、当時の水位と同じ高さ1・57メートルに溝が掘られていることを紹介。「人も車も物すべてが奔流の底に消えていった」とする碑文の内容も載せた。

 また、塔の周辺にある災害時の避難所も写真付きで紹介。「防災リンク」として、ハザードマップや災害の警戒情報などを掲載している県や長崎市のネットサイトにも簡単につながるようにした。3人は、記念碑のそばに二次元コードを載せた看板などを設置し、訪れた人がスマートフォンなどで「モバイル災害遺構」を閲覧することを想定する。

 ホームページの開発は、3人が長崎大で受講している「創成プロジェクト」という授業の一環。身近な課題の解決につながる開発品を考える授業で、大原さんは実家が熊本地震の被害を受けたことから防災に関わる開発を計画した。

 当初は「熊本の役に立つようなものを」と思っていたが、昨年7月に、長崎大水害や諫早大水害の慰霊祭に参加。そこで、慰霊碑の劣化や語り部の減少などを知り、「まずは今いる長崎で、災害の教訓を若い世代に継承していくことが大事だ」と思い直し、「モバイル災害遺構」を発案した。大原さんは「今後も機会があれば、この開発を生かして、より良いものを作りたい」と話している。

〔長崎版〕