第70回全日本学生音楽コンクール全国大会(毎日新聞社主催)のバイオリン部門・高校の部で、東邦音大付属高校2年、近藤さくらさん(17)=中津市出身=が1位に選ばれた。2位とは小差ながら、聴衆は力強い演奏に酔いしれた。次の目標は日本音楽コンクール(同)で1位になることだという近藤さん。「大学に進んでウィーンに留学し、将来、(マルタ・)アルゲリッチさんと共演したい」と未来の夢に目を輝かせている。【大漉実知朗】

 近藤さんは4歳からバイオリンを習い始めた。中学時代、別府アルゲリッチ音楽祭の公開マスタークラスを見に行った際、世界的バイオリニスト・清水高師さんの指導に感銘を受けて「弟子に」と志願。以来、東京へ毎月2回通った。飛行機だけでなく、夜行高速バスを使うこともあったという。

 中1で学生音コン九州地区大会に出場したが、本選には進めなかった。その後めきめき力をつけ、高校1年で東京地区から再挑戦した。自信はあったが、またも予選を通過できなかった。

 ショックは大きく、バイオリンを弾くことすら嫌になったと振り返る。「次のコンクールがだめだったら、バイオリンをやめよう」と思い詰めた。

 昨年12月、横浜市の横浜みなとみらいホールで開かれた第70回学生音コン。近藤さんは「課題曲ばかりに力を入れていたので、決勝で弾いた難解な曲のパガニーニの協奏曲第1番は、あまり練習していなかった。不安でした」と振り返る。

 しかし努力が実り、見事に優勝。発表の張り出しは自分では見られず、「1位になったよ」と母に聞かされ、抱き合って人目もはばからず泣いた。指導する清水さんは「音楽の中に熱い気持ちがあふれ、才能豊かな子。将来が楽しみです」と話している。

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 審査終了後にあった「サントリー芸術財団名器特別賞」の選定会議では、財団が所有する世界的名器「カルカッシ」を、近藤さんに無償で3年間貸与することが決まった。近藤さんは13日、中津市の奥塚正典市長に受賞を報告する。