県は、若手クリエーター(制作者)の育成を目的に設置した「いばらきクリエイターズハウス」(つくば市松代5)の入居者を募集している。春に1期生が約2年間の入居期間を終え「卒業」するため。手塚治虫や赤塚不二夫ら著名漫画家が過ごしたアパート「トキワ荘」(東京都)を意識し、入居者同士が刺激し合って面白い作品を生み出してもらうことを目指している。【松本尚也、加藤栄】

 「県内で活躍する人が近くで作業していて刺激になった。入居して良かった」。こう振り返るのは、デジタルコンテンツ制作を行う会社「SHiFT−UP」(シフトアップ)の川瀬真生さん(46)。ハウスに入居する漫画家と協力し、アニメ作品を共同制作するなど作品の幅が広がったという。

 ほかにも「成果」が出ている。漫画家、横井三歩さん(35)の作品「新解 ヴェニスの商人」は昨年4月、国際コンペで特別賞を受賞。主要7カ国(G7)科学技術相会合のポスターデザインや、県内の各種データをテーマにした小説「異世界統計数唄」など県関連の事業でも入居者が起用された。

 ハウスはつくばエクスプレスつくば駅から約4キロの住宅街に位置する1980年建築の元公務員住宅。4LDKタイプの戸建てが3棟6戸ある。供用の作業スペースのほか、台所やシャワールームなどを備えている。

 原則として複数の入居者が1戸を共同で利用する。光熱費や共益費は入居者負担だが、家賃は無料だ。「ハウス」と名付けられているが、寝泊まりはせず「シェアオフィス」という位置づけで活用しているという。

 現在は14組の個人・団体が入居しており、制作分野はゲーム▽音楽▽漫画▽イラスト−−など多岐にわたる。このうち途中入居の3組を除き、この春、卒業する。県産業政策課の担当者は「卒業後も県内を拠点に活動してもらうなどして、産業振興などにも貢献してもらいたい」と期待する。

 県は今回、新たに17部屋に入居する個人・団体を募集している。入居期間は今年4月からの2年間で、2月9日まで応募を受け付けている。制作計画や面接などで審査。問い合わせは県産業政策課(029・301・3523)。

 ◇作品展きょうまで つくば

 ハウス入居者を中心に県内のクリエーターの作品展が13日、つくば市吾妻1のつくばイノベーションプラザで始まった。入場無料で14日まで。

 昨年の第1回は東京・秋葉原で開催された。シフトアップのブースでは、ひたちなか市にある虎塚古墳の内部をVR(仮想現実)体験できる。