<第89回センバツ>

 延長十回までもつれるシーソーゲームで逆転勝ち−−。20日に開かれた第89回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)の1回戦の第1試合で、県勢の盛岡大付が登場。10−9で高岡商(富山)にサヨナラ勝ちした。チームが目指す「打ち勝つ野球」をセンバツでも実践。15安打を放って乱打戦を制した。【小鍜冶孝志、佐藤裕太】

 ▽1回戦第1試合

高岡商(富山)

  2013020001=9

  2103200002=10

盛岡大付

 (延長十回)

 一回表の盛岡大付の守備。マウンドには「ダブルエース」の一人、背番号10の三浦瑞樹投手(3年)が上がった。「信頼しているぞ」。19日夜、関口清治監督から先発を告げられた。

 三浦投手は期待に応えようとするが、制球が安定しない。「力みが出てしまった」。初回に2点本塁打を浴びるなど、3回3分の1を投げて6点を失う。マウンドをダブルエースのもう一人、背番号1の平松竜也投手(3年)に譲った。

 3点を追う四回裏の攻撃で、自慢の打線が本領を発揮する。植田拓中堅手(3年)の適時打などで、同点に追いつく。さらに、五回裏には松田夏生捕手(3年)と植田中堅手の連続適時打で、2点を勝ち越す。

 「これで逃げ切ろう」。そんな雰囲気がベンチ内に漂い始めたが、平松投手がリードを守りきれない。六回表に2失点し、試合を振り出しに戻された。

 終盤では両校とも得点を奪えず延長戦へ。勝ち越し点を奪われ、反撃するしかない関口監督は、相手投手の制球が悪くなっているのを見逃さなかった。選手に「四球を選べば、必ず流れは来る」と助言する。

 追いつかなければ最後となる攻撃。先頭の松田捕手が四球で出塁する。「制球が荒れ気味だった」。狙い通りに球を選んだ。代走には、俊足の三浦奨外野手(3年)。次打者は、この試合で3安打の植田中堅手を迎える。「負けられない。どんな形でも出塁する」。痛烈な三塁ゴロを放って相手の失策を誘い、好機を無死二、三塁に広げた。

 打席には林一樹左翼手(3年)が入った。気合をみなぎらせる。「つなぐのではなく、自分が決める」。真ん中低めの直球を振り抜くと、打球は中前へ。走者2人を還して、逆転サヨナラで勝負を決めた。

 盛岡大付は大会第6日の24日、センバツ連覇を狙う智弁学園(奈良)と対戦する。

 ◇自分たちの手本に

 ○…盛岡大付の応援団が並ぶ三塁側アルプススタンドには、23日に試合を控える不来方の岩間龍輝選手(2年)も応援に駆け付けた。甲子園で観戦するのは初めてといい、両校で本塁打2本を含む計27安打の乱打戦に、刺激を受けた様子だった。盛岡大付は3点追う四回裏の攻撃で、2死三塁から3連打で同点に追いついた。「積極的な打撃で、試合の流れをつかんでいた。自分たちも手本としたい」と興奮した口調で話していた。

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 ■白球を追って

 ◇笑顔でチームけん引 比嘉賢伸主将(3年)

 十回表の守備。2死ながら1点を勝ち越され、なおも一、二塁に走者を背負った。重苦しくなりそうな所で、遊撃の守備位置から笑顔でマウンドに駆け寄り、平松竜也投手(3年)に声をかけた。「あと(アウト)1個、落ち着いていこう」

 昨夏の甲子園でも、全3試合に先発で出場。「先輩のおかげで緊張しなかった。自分のことだけ考えればよかった」という。2試合で複数安打を放ち、プレッシャーを感じることなくプレーした。

 3年生が引退して新チームになると、関口清治監督から主将に指名された。今までと違い、行動でチームを引っ張る立場。練習では誰よりも早く動き、他の選手の見本になるよう心がけた。「自分が不安そうな顔をしたら、周りの選手に悪影響が出る」。苦しい試合展開では、笑顔を意識するようになった。

 センバツの初戦。随所で仲間への声かけを忘れず、チームの士気を保った。打っても4打数4安打の大活躍。「単打ばかりで物足りない。次は長打でチームに貢献したい」【小鍜冶孝志】