化粧水、美容液、乳液、化粧下地などの役割を果たす「オールインワンジェル」や、化粧下地やファンデーション、コンシーラ、日焼け止めのなどの役割を果たす「BBクリーム」など、スキンケアやメイクは「オールインワン」がすっかり定着している。

●洗顔でただ汚れを落とせばいいわけではない

だが最近、これまでオールインワンでは決して補えなかった「洗顔」の役割も兼ねるスキンケア商品が人気を博しているのをご存じだろうか? 

例えば、洗顔とスキンケア、化粧下地などの役割を果たす「シートマスク」などが代表例。さらには肌をふき取ることで洗顔効果を謳う化粧水も登場している。

肌の汚れを取る洗顔と、肌をケアするスキンケア。果たして本当に両立するものなのか? そんな気になる疑問を「西麻布ヒフ・形成外科」の院長、藤井佳苗先生に伺った。

「そもそも洗顔の目的は皮膚の汚れと余分な皮脂を落とすことです。汚れはぬるま湯だけで落とすことができますが、皮脂は油なので洗顔料が必要。酸化した余分な皮脂があると、バリア機能の低下や毛穴トラブルなどの原因になります。しかし必要以上に皮脂を落としすぎると、今後は皮膚バリア機能の破綻につながるのです」(藤井先生 以下同)

この「皮膚バリア機能」の低下や破綻は、敏感肌、赤み、かゆみ、吹き出物などのあらゆる肌トラブルを引き起こすきっかけにもなるのだとか。

●期待できるのは洗顔よりピーリング効果によるスッキリ感

つまり、ひとくちに「洗顔」といっても、ただ汚れを落とせばいいというわけではないのだ。そのうえで藤井先生は洗顔とスキンケアとの両立についてこう語る。

「単体のシートや液体のみで洗顔から保湿が完結するという発想は興味深いです。ただ、こういった製品は『角質除去』を謳っているケースが多く、おそらくピーリング作用のある成分が入っているのだと思います。これによりスッキリ感が出るので、洗顔しなくても気持ちよくなるのではないでしょうか?」

やはりスキンケア商品で洗顔の効果を期待するのは無理があるようだ。しかも使い続けると、「皮膚科学的には汚れや皮脂の残存が気になりますし、こすってしまうことによる炎症が気がかり」だという。使う際はやはり洗顔だけは別でしっかりしておいたほうがいいだろう。

そのため、毎日使うのではなく、寝坊して洗顔の時間がまったくないときや災害時などで水が使えない環境時といった緊急用として使うのならアリだろう。緊急時の災害用バッグに忍ばせておくと、いざというときに役立つかもしれない。
(高山恵+ノオト)