「性は男と女の2通り」「性別に合わせて男らしく・女らしく生きるのが自然」「異性を好きになるのが普通のこと」。

今現在、子育て真っ最中のパパママは幼い頃はこんな風な教育を受けてきたはずだ。だが今、性をめぐる教育のあり方は大きく変化している。

男女二元論では語れない「その人らしさ」や「自然な姿」を大切にするこれからの教育のあり方とは? 『先生と親のためのLGBTガイド』の著者であり、LGBTの子ども・若者支援に長年関わっている遠藤まめたさんに話を聞いた。

●性は人の数だけバリエーションがある

「世の中には男と女の2種類しかいない、という男女二元論よりも、性のあり方は人の数だけバリエーションがあると考えたほうが、一人ひとりの姿をより正確にとらえることができます」(遠藤さん 以下同)

遠藤さん自身もFtM(Female to Male:女性から男性への性別移行を望む人)のトランスジェンダー当事者として、「小学生の頃には自分の性別についてほかの人は感じない難しさを抱えていた」という。

「トランスジェンダーの場合、幼少期から自分の性別に違和感を持つ人は多いですが、中には成人後に自覚が芽生える人もいます。ただ、子どもの性別違和は、年齢によってとらえ方が異なってくる。幼少期の性別違和が生涯続く人もいれば、逆に成長とともに変化する場合もあるのです」

つまり、「男の子なのにお人形遊びが好き」「女の子なのにズボンばかり履きたがる」といった幼少期の振る舞いひとつで、トランスジェンダーかどうかをすぐに決めつける必要はないということ。大切なのは、まず目の前のその子の気持ちに寄り添うことだ。

「『この訴えは一時的なものかもしれないし、変わるかもしれないな』と思った上で、今その子の大切だと感じていることをきちんと尊重しましょう。その子の自己肯定感を育むために、好きな服や好きな名前の呼ばれ方、振る舞い方を周囲が尊重し、付き合っていくことが重要です」

●「この子はこういう子なんだな」くらいの気持ちでOK

わが子のみならず、子どもの友だちがそういった振る舞いをしている場合も、難しく考えずに同じように接すればいい。

「そういう子が身近にいる場合にも、特に動揺することなく、『この子はこういう子なんだなぁ。こうやって振る舞うのが好きなんだなぁ』ぐらいで接していればよいと思いますよ。ただ、明らかに性別への激しい違和感や苦痛を訴えている子は、相談機関に行くのもひとつの方法です」

決めつけない、押しつけない、思い詰めない。そしてもしもわが子がトランスジェンダーや同性愛者だとわかったときは、サポートできるような心構えをしておく。わが子が自分らしく生きていけること、それが親として一番の喜びであるはずなのだから。
(阿部花恵+ノオト)