待機児童や保育士の待遇改善など、保育園にかかわる問題。政府や自治体が改善に乗り出しているとはいえ、その道のりはまだまだ遠い…。そんな中、周辺住民の反対により、保育園の建設を断念するケースが増えています。

吉祥寺・名古屋など、続々と中止を発表

首都圏を中心に、周辺住民の保育園の建設反対運動により、建設中止の決定が相次いでいます。吉祥寺(東京都)、名古屋(愛知県)では、2017年4月に開園予定だった保育園の建設を断念。反対意見として、「予定地周辺の交通量が多い」「道幅が狭く危険」など、安全性を危惧する声が挙がったほか、「事前の説明がなかった」という声もチラホラ。

自治体の許可を得ているとはいえ、住民の合意を得られる前に着工しようとする業者のやり方に、納得がいかない人たちが大勢いるようです。


開園断念で大打撃!「待機児童ゼロ」

周辺住民の反対で、開園を断念した吉祥寺の「ましゅまろ保育園」。その影響は事業者だけでなく、開園を待ち望んでいたママたちにも及ぶといいます。

というのも、計画通り開園が実現していれば、武蔵野市の待機児童のおよそ3分の2に当たる、81人を受け入れ予定だったそう。子どもを保育園に入れられるかどうかは、ママの職場復帰やワンオペ育児からの脱却にかかわる重要な問題。多くの自治体が目標に掲げる「待機児童ゼロ」が、またひとつ遠のいたとも言えるのでは?


子どもの声は騒音!?

保育園の建設反対の理由として、「子どもの声がうるさい」という声も数多く耳にします。しかし、子どもの声は騒音に含まれるのでしょうか? 厚生労働省が2015年10月に公開した「人口減少社会に関する意識調査」(男女各1500名)によると、およそ3分の1の人が、「子どもの声を騒音と考える」という結果に…。詳しい結果は、以下。

Q.住宅地に立地する保育所について「子どもの声が騒音」であるという声があり、近隣住民からの苦情や立地反対、訴訟に発展するケースも生じていますが、このような考え方についてどう思いますか?

・とても同感できる(5.4%)
・ある程度同感できる(29.7%)
・あまり同感できない(38.5%)
・全く同感できない(26.4%)

実際、「子どもの声がうるさい」というクレームを受ける保育園も多いといいます。これを受けて、保育園側は数百万円かけて防音工事をしたり、忍者ごっこと称して静かに帰るよう促したり、対策をしている様子。

保育園の建設や待機児童は、パパやママの職場復帰に目を向けられることが多い印象があります。しかし、ただでさえ子どもがのびのびと遊べる場所がなくなりつつある中、保育園で大きな声を出すことさえ許されない子どもたちが1番の被害者なのかもしれませんね。
(文・明日陽樹/考務店)
?