“ネガティブすぎるイケメンモデル”として注目され、モデル・タレント・俳優として活躍する栗原類(21)が、昨年5月、とある情報番組で「発達障がい(ADD・注意欠陥障がい)」であることを告白。視聴者の反響を受け、自身の生い立ちから現在までの道のりを語る自伝的1冊『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』(KADOKAWA)を刊行した。そこで『ママテナ』記者が、栗原さん本人を直撃。これまで2人3脚で歩んできた、母への思いを聞いた!



●母の子育ては変わっていました

――著書のなかでは、類さんの目線から見たお母様の子育て、また母・泉さんの目線で違う角度から見た子育ての葛藤や苦悩が綴られています。お母様の子育ては、今育児に奮闘するママたちのヒントになるアイデンティティが凝縮されていますが、類さんが改めて、お母様の子育てで“感謝していること”はありますか?

「母の子育てはちょっと変わっていて、僕自身が、母の子育てを通して成長できたと感じるのは、“自分がどう思うのか”ばかり考えないという部分。子どもは物事を考える時、大概『自分が、自分が』と自己中心的になってしまうところがあって、それは普通の子どもも発達障がいの子どもも同じこと。でも、発達障がいだと、他人に関心を持ちにくい分、さらに自己中心的な考えになりやすいんです。そこで、母はいつも僕に、『こういうことをされたら自分がどう思うか』ではなく、『自分がどうされたら嬉しいのか、どうされたら嫌なのかを考えなさい』と言い聞かせていました。『自分がされて嫌なことは、決して他人にはしてはならない』と言われ続けてきたんです。これに関しては、もう耳にタコができるくらい言われていましたね(笑)。発達障がいだからとあきらめるのではなく、長い目で見て、周囲の大人が注意を促し続けることで、少しずつ変わることもあると思います」(栗原さん 以下同)


●好きなものはトコトン追求するべきだと教えられました

――お母様の文章を読むと、随所に“とにかく類さんが好きなことを伸ばしてあげたい”という母心が感じられます。

「そうですね。“自分の好きなことは徹底的に伸ばす!”これは主治医の高橋猛先生と話していたことでもありますが、例えば、我が家には小さい頃からネット環境があり、僕は中学生の頃からネットで他者と交流を持ったり、映像を制作することに夢中になりました。自分がゲームをプレイしているところを録画してYouTubeにUPするということをやっていたんですけど、母親は、それを制止したり注意することはまったくなくて、“ただ録画してUPするのではなく、どうすればクオリティを上げられるのか、クリエイティブなものができるのかを考えなさい”ということを細かく僕に言っていました。当時は母の言っていることが理解できませんでしたが、大人になった今、本格的に映像制作したいと思うようになって、“昔、母が言っていたことを訓練していれば、もっとより正確なビジョンを得られたのかもしれない”と後悔することがあります。“自分が好きなことを追及するということの大切さ”を、今更だけど気づかせてもらいました」
 
――子どもが好きなことをトコトン伸ばす…やれ勉強だ、お稽古事だ!と躍起になりがちなママたちには、頭でわかってはいても、なかなかできないことなのかもしれません。

「僕の勝手な個人的な考えですが、母は特に僕の趣味に関して、小さい頃から明確にしようと努力してくれていたように思います。母が幼い頃からいろんな音楽や映画を見せてくれたことによって、僕は具体的に自分がどういうものが好きなのか…ということに比較的早い段階で気づいたんですね。小学生の頃にハマったのが『モンティ・パイソン』(イギリスのコメディグループ)や『サウスパーク』(アメリカのコメディアニメ)。そこで笑いの素晴らしさを知ったし、お笑いのツボというのが早い段階で身に着けられたような気がします。大人になって見返して“自分はなぜこれが好きなのか”を理解するようになって、最近は“自分でも、いつかこういう作品を作りたい”と思うようになりました。改めて、母には感謝しています」

母・泉さんが、あきらめずに繰り返し繰り返し伝えてきたことが、今の栗原さんにはしっかりと伝わり、受け継がれている。長期の記憶が苦手とのことで、インタビュー中、思い出しづらいことは、時折メモを見ながら律儀にしっかりと答えてくれた。彼の礼儀正しさと真摯な姿勢こそが、泉さんの子育ての素晴らしさを証明していると言えるだろう。

(撮影/田子芙蓉 取材・文/蓮池由美子)