絵手紙は人を元気づける不思議な力を持っている。人物を描く場合でも、一部を大胆に切り取る。はみ出した部分は、見る側が想像の翼を広げればいい。霧島市の塩浸温泉龍馬公園で「龍馬とお龍さんに届けたい元気になる絵手紙」展が開かれている。坂本龍馬が霧島を訪れて今年で150年。その記念に募集したところ、24都道府県から140点が寄せられたというから龍馬の人気は衰えない。飾ってある入賞作44点は力作ばかりだ。それぞれの龍馬像が紙面に息づき見飽きない。メッセージも親近感にあふれている。中でも日本の現状と行く末を案じ、龍馬の再登場を願う作品には、はたと膝を打った。「今の世の中あなたの大きな手でゴシゴシしっかり洗たくしてほしい」と呼び掛けているのは鹿児島市の中野アヤ子さん。龍馬が姉の乙女に送った手紙の一節「日本を今一度せんたくいたし申候」に絡めているのが面白い。龍馬が「日本丸」に乗船して荒波の中を進む図柄を配したのは奈良県の木下佳威さんである。「龍馬さんよ、平成日本の進む方向まちがってませんか」と問い、「日本の舵(かじ)取りそっとおしえてくださいな」と請うている。いつの時代も、国の在り方や暮らし向きなど、人々の憂いは尽きない。龍馬が存命なら何と答えるのか。絵手紙の前で“対話”してみるのも楽しいだろう。展示は来年3月末まで。